原野商法で買った土地を処分するには?方法と注意点を解説
こんにちは。千葉エリアの不動産会社「イエステーション」前島です。
「原野商法で購入してしまった土地を何とか手放したい」
「相続した土地が原野商法によるものだった…どうすればいい?」
そんな悩みを抱えていませんか?
1970年代から80年代に多発した原野商法ですが、過去に購入した人やその相続人に対して、「高く買い取る」と持ちかけ、詐欺を行う二次被害も出ています。
原野商法で取得した土地は処分が困難な場合が多いものの、適切な方法を知れば解決の道筋が見えてきます。
放置することで生じるリスクもありますので、早めの対策が重要です。
今回は原野商法の詳細や土地を放棄・処分する方法について、放置するリスクとあわせて詳しく解説していきます。

原野商法とは?
原野商法とは、開発の見込みがない山林や原野を「将来高値で売れる」と虚偽の説明で販売する悪徳商法です。
1970年代から80年代に多発したこの被害は、今なお二次被害という形で続いており、相続によって突然問題が発覚するケースも少なくありません。
かつての原野商法では、「ゴルフ場や新幹線計画がある」「リゾート開発予定地である」といった話で価値のない土地を高額で購入させる手口が横行。
当時の中高年層を中心に多くの人が被害に遭いました。
現在は“二次被害”が深刻化
現在ではさらに、原野商法の被害者の名簿を悪用したり、登記情報などから接触してきたりするケースが出てきています。
例えば、困っている方に「土地を高く買い取る」と持ちかけ、話に乗った途端、高額な手数料や整地費用を請求するケースです。
ほかにも、以下のような手口が報告されています。
- 節税対策を口実に土地売却と新規購入を強要された
- 調査・整地費用の名目で高額請求された
- 「管理が必要」として土地の高額な管理費を請求された
また、原野商法で購入してしまった土地の相続人に二次被害が及ぶケースもあるため、注意が必要です。
相続世代へのトラブルと二次被害
親が原野商法で購入した土地を相続した子世代が、「突然、知らない土地の固定資産税の請求が届いて驚いた」「土地の管理責任を問われた」といった事態に直面し、困惑するケースも増えています。
多くの場合、親はだまされた事実を恥ずかしく感じ、家族に話さずにいるため、相続した子世代が初めて土地の存在を知り、対応に苦慮することが少なくありません。
こうした相続者を狙い「高値で買い取る」と勧誘し、二次被害につながるケースも報告されています。
原野商法の被害は過去のものではなく、今も続く問題です。
二次被害に巻き込まれないためにも、「土地を高値で買い取る」といった勧誘には安易に応じず、必ず専門家や消費生活センターに相談しましょう。
原野商法で購入した土地を処分する方法は?
原野商法で購入した土地の処分には、下記のような方法があります。
- 相続土地国庫帰属制度を利用する
- 自治体へ寄付をする
- マッチングサービスを活用する
- 不動産会社に相談し、仲介や買取で売却する
状況に応じて検討できる選択肢をご紹介しますので、「価値が低いから…」と悩む前に、各方法の特徴を踏まえて、現状に合った方法を検討してみましょう。
方法①相続土地国庫帰属制度を利用する
相続や遺贈で取得した不要な土地を、国に引き取ってもらう制度です。
ただし、利用には以下の条件があります。
- 土壌汚染や境界不明の土地は対象外
- 建物が残っている土地は引き取り不可
- 申請には20万円の負担金が必要
原野商法で購入してしまった土地を国に引き取ってもらうことができれば、固定資産税や管理費の負担をなくせるため、大きな安心につながるでしょう。
ただし、土地の状態や条件によっては審査に通らず、制度を利用できない場合もあります。
方法②自治体へ寄付をする
もしあなたの土地が公共利用に適している可能性があり、地域のために活用してほしいと考えているなら、自治体への寄付も方法の一つです。
例えば、防災用地や公園予定地など、地域の公共事業で活用できる場合に受け入れられることがあります。
ただし、現実には管理負担の増加を懸念する自治体も多く、引き取ってもらえる可能性は高くありません。
まずは寄付の受け入れが可能か、自治体に相談してみると良いでしょう。
方法③マッチングサービスを活用する
維持費や管理負担をなくすために土地を手放したいが、国や自治体以外にも候補を探したいという場合は、マッチングサービスの利用も選択肢になります。
こうしたサービスに物件情報を登録することで、資材置き場やキャンプ場用地を探している個人や法人に、見つけてもらいやすくなるでしょう。
ただし、特に個人間での取引では、契約内容の不備や支払いトラブルが発生するリスクがあります。
そのため、契約時には専門家に相談するなど、トラブル防止策を講じることが大切です。
方法④不動産会社に相談し、仲介や買取で売却する
もしあなたが「できれば現金化したい」と考えているなら、不動産会社への相談が現実的です。
不動産会社を通じて仲介や買取の形で売却できれば、現金化できる可能性があります。
さらに、プロの第三者が間に入ることで、契約や手続きがスムーズかつ安全に進めやすいというメリットも。
特に不動産会社に直接売却する「買取」は、買い手探しの販売活動が不要なため、「管理や税金の負担を一刻も早く解消したい」という場合に有用です。
価格は一般的に仲介より下がる傾向がありますが、原野の場合はそもそも需要が少ないため、買取による早期処分は、現実的な選択肢といえるでしょう。
なお、土地の売却で利益が出た場合は、譲渡所得として税金がかかることもあります。
支払いスケジュールや節税方法については「土地の売却でかかる税金を解説!支払いスケジュールと節税方法も」で詳しくお伝えしているので、ぜひあわせてご参照ください。
最初の一歩として「査定依頼」から進めよう
どの処分方法を選ぶにしても、まずは一度不動産会社に査定を依頼し、現在の土地の価値を正しく把握してみることをおすすめします。
「価値がない」と思い込んでいた土地でも、周辺環境やニーズの変化によって、次のような需要が生まれることがあるからです。
- 太陽光発電用地や資材置き場としての需要
- 隣接地主が土地を買い増ししたいと考えている
- キャンプ場や小規模レジャー施設用地としての活用可能性
実際にイエステーションにも、原野商法で購入した土地を相続されたお客様からご相談がありました。
W・T様は、父親が家族に内緒で購入していた原野を相続し、処分に悩んでいたそうです。
調査の結果、全く需要がないわけではないが、仲介での販売は時間がかかると判断。
最終的には当社が直接買取し、早期に負担を解消することができました。
▶お客様の相談例 「父が原野商法でだまされて買った土地を相続しました」
もちろん、価値が上がっていないケースもありますが、それはプロに見てもらわないとわからないもの。
まずは査定を受けて、どうするか相談してみることが、後悔しないための第一歩です。
原野商法で購入した土地を放置するリスク

原野商法で購入した土地を「使わないから」「買い手が見つからないから」と放置するのは非常に危険です。
原野商法の二次被害のリスクがあることはもちろんですが、放置し続けることで、下記のような負担やトラブルが生じるおそれがあるからです。
- 維持費、固定資産税の負担が続く
- 維持管理の手間がかかる
- 雑草や不法投棄などの近隣トラブルの可能性
- 相続で次世代にも負担が継続される
まず、いくら原野商法の土地の価値が低いとはいえ、土地を所有する限り、毎年固定資産税の支払いが必要です。
たとえ金額は少額でも、長期間続けば負担感は大きくなります。
さらに、管理費用や草刈りなどの出費が重なる可能性もあります。
次に、金銭的な負担だけでなく、維持管理の手間も見過ごせません。
雑草や立木が伸び放題になれば景観が悪化し、不法投棄や害虫被害、さらには近隣トラブルや軽犯罪の温床になるおそれも。
放置が長引くほど問題は複雑化し、問題解決に対応するため、より多くの時間や費用がかかるという悪循環に陥るリスクもあります。
そして、上記の金銭的な負担や管理の手間が、そのまま放置すると子世代にも引き継がれることは、大きなリスクといえるでしょう。
相続放棄は「土地だけ放棄」とはいかず、全財産を放棄する必要があるため、次世代にとっても簡単な解決策ではありません。
今あなたの代で処分を済ませておくことが、家族にとっても最善の選択です。
時間が経てば経つほど土地の価値が下がり、処分がより難しくなる可能性もあるため、早めの対応が重要です。
このようなリスクを回避するためにも、原野商法で購入した土地は放置せず、専門家に相談しながら適切な処分方法を検討しましょう。
原野商法の土地は早期の専門家への相談で解決を
原野商法とは、将来価値が出る見込みのない原野や山林を「高値で売れる」と偽って販売した悪質商法です。
原野商法で取得した土地は、処分が難しいケースが多いものの、相続土地国庫帰属制度や自治体への寄付、マッチングサービス、不動産会社への相談など、状況に応じた複数の選択肢があります。
重要なのは、土地を放置せず、できるだけ早く行動を起こすことです。
放置すれば固定資産税や管理の負担が続くだけでなく、相続時により大きな問題を次世代へ残してしまうリスクも。
二次被害の危険性もあるため、専門家のアドバイスを受けながら最適な解決策を見つけることが大切です。
不動産の売却に悩んだときは、ぜひ不動産会社にご相談ください。
千葉エリアの不動産売却のお悩みは、「イエステーション」がサポートいたします。

いすみ店 前島 亮
売却は一生に何度もあるものではございません。
より安心していただけるよう、分かりやすい資料とわかりやすい説明を心がけております。
地元になくてはならない不動産屋としてクオリティの高いサービスをご提供してまいります。