「古家付き土地」と「更地渡し」のメリット・デメリットを詳しく解説!
こんにちは。千葉エリアの不動産会社「イエステーション」前島です。
「古家付き土地と更地渡しでは、どちらの売却方法が良いのだろうか」
古い家の売却を検討中の方には、そんな悩みをお持ちの方もいらっしゃるのではないでしょうか。
そこで今回のコラムでは、「古家付き土地」と「更地渡し」のメリット・デメリットを徹底解説。
それぞれの売却方法に向いているケースもご紹介しますので、あわせて参考にしてください。

不動産売却での「古家付き土地」「更地渡し」とは?
具体的なメリット・デメリットを解説する前に、まずは「古家付き土地」と「更地渡し」とはどのような売却方法なのか確認しておきましょう。
古家付き土地とは?
古家付き土地とは、名前のとおり古い家が建っている土地のことです。
中古住宅と異なるのは、土地におまけとして家が付いているイメージで、建物の価値はないと見なされます。
言い換えれば、土地のみの価格が売却価格になるのがポイントです。
ちなみに古い家とは、木造住宅であれば築年数20年以上の家が想定されます。
これは、建物の減価償却計算に用いる「法定耐用年数」が、木造住宅の場合22年に設定されているため。
耐用年数を過ぎても住めなくなるわけではありませんが、資産価値はないと評価される点を知っておきましょう。
更地渡しとは?
更地渡しとは、売却の手続きは家が建っている状態で進め、売主側の負担で建物の解体や整地をして、土地だけにして引き渡す方法です。
更地の状態に定義はないため、ブロック塀の撤去の有無や庭木の処理、整地の目安など、どこまで土地を整えるのかは、具体的な決まりはありません。
売主と買主の間で売買契約を結ぶ際に、取り決めを行うのが一般的です。
不動産を「古家付き土地」で売却するメリット・デメリット
不動産を古家付き土地で売却するメリット・デメリットは次の通りです。
【メリット】
- 解体費用がかからない
- 買い手が住宅ローンを利用できる
- 土地の固定資産税の負担が軽減できる
【デメリット】
- 家を管理する手間やお金がかかる
- 売却価格が安くなる可能性がある
- 新築希望者の需要が少ない
それぞれを解説したあと、古家付き土地での売却が向いているケースをご紹介します。
メリット1:解体費用がかからない
古家付き土地の売却方法は、家を処分する必要がないので解体費用がかかりません。
家の解体費用は、構造や大きさ、立地などで違いがあります。
例を挙げると、木造30坪の住宅では120万円前後、坪単価4万円ほどが相場の目安です。
また、解体費用とは別に、庭木や家財、地中埋没物の撤去費用など、追加請求される場合もあるので、整地にかかる諸費用が抑えられるのは大きなメリットといえます。
詳しくは「空き家の解体費用の目安は?解体のメリットや費用の抑え方もチェック」にて解説していますので、ぜひあわせて参考にしてください。
メリット2:買い手が住宅ローンを利用できる
買い手の中には、購入資金に住宅ローンの利用を検討する人も多いです。
住宅ローンは、建物がないと利用できないため、古家付きのままで売却すれば、自己資金が乏しい人にも購入してもらいやすいでしょう。
ただし、建物としての資産価値はほぼないケースが多いため、借入期間が短くなったり、借りられるローンの金額が少なくなったりする可能性が高い点には注意です。
メリット3:土地の固定資産税の負担が軽減できる
家が建っている土地(宅地)には、「住宅用地に対する固定資産税の課税標準の特例」が適用されます。
この特例は、1月1日時点で家があれば、その年の固定資産税が最大6分の1に軽減されるというものです(地方税法第349条の3の2)。
家を残しておくことで、税金の負担を抑えられます。
デメリット1:家を管理する手間やお金がかかる
空き家を放置すると劣化が進み、周囲の環境にも悪影響を与える可能性があるので、定期的な管理が必要です(目安として月に1回以上)。
建物を残して売却する場合は、家の掃除といった管理の手間と、交通費や修繕費などにお金がかかります。
デメリット2:売却価格が安くなる可能性がある
家の状態が悪く居住用に適さない場合は、買い手が購入後に家を解体することになります。
うまく買い手が決まっても、解体費用分を値引きしてほしい、と価格交渉を求められる場合があり、売却価格が安くなる可能性があります。
また、見た目が悪いと好印象を与えづらいです。
解体の手間や費用を想定した買い手から購入を避けられる可能性もあるかもしれません。
デメリット3:新築希望者の需要が少ない
解体しないと新築に取りかかれないので、新しく家を建てたいと希望する人には需要が少ないでしょう。
建物があると土地の状態も確認しづらく、買い手が付きにくい一因となりえます。
古家付き土地での売却が向いているケースとは?
上記を踏まえると、古家付き土地での売却に向いているのは、次のようなケースです。
- 家が居住用として利用できる
- リフォーム物件としての需要がある
- 「再建築不可」の物件である
- 解体費用が高すぎる
建物の状態が居住用として問題ない、あるいはリフォームすれば十分住めるといった場合は、古家付き土地として売却すると良いでしょう。
エリアによっては、古民家としての需要もあるので、「古い家を自分でリフォームしたい」という人を売却のターゲットにできます。
「再建築不可」とは、建築基準法が改正されたことで、現況の建物を解体すると家を建てられなくなる土地のことです。
解体費用が高すぎて、土地の査定価格を上回る場合も古家付き土地の売り方が向いています。
不動産を「更地渡し」で売却するメリット・デメリット
続いて、不動産を更地渡しで売却するメリット・デメリットは次の通りです。
【メリット】
- 売却しやすい
- 解体作業が無駄にならない
【デメリット】
- 売却のための費用や手間がかかる
- 契約内容によっては解体工事が無駄になる可能性がある
それぞれを解説したあと、更地渡しでの売却が向いているケースをご紹介します。
メリット1:売却しやすい
引渡し時には更地になっているため、土地活用の自由度が高く、売却しやすいことは大きなメリットです。
メリット2:解体作業が無駄にならない
ただの更地として売り出す場合には、確実に売却できるかわからない状態にもかかわらず、解体費用をかけて土地を整備しなければいけません。
また、建物が無くなってしまうと固定資産税の優遇措置が受けられなくなるので、土地の固定資産税が最大で6倍になってしまう可能性も。
更地渡しの場合は、売却が決まってから更地にするので、解体費用が無駄にならず、固定資産税の負担も軽減できます。
デメリット1:売却のための費用や手間がかかる
先述のとおり、更地にするには解体費用がかかります。
費用は解体業者によってさまざまなため、複数社に見積もりを取って比較検討する必要があります。
加えて、解体後の1カ月以内には、建物がなくなったことを登録する「建物滅失登記」を行う必要があります。
1,000円程度で自分でも手続きできますが、土地家屋調査士に依頼した場合、報酬の相場は4〜5万円程度です。
デメリット2:契約内容によっては解体工事が無駄になる可能性がある
買主がローン審査に落ちてしまった場合、すでに解体作業を進めていたら無駄になる可能性があります。
解体費用が回収できないばかりか、更地にしてしまうと高い固定資産税を負担することになります。
そのため、「解体は買主のローン審査通過後」など条件を付けて行うようにすると良いでしょう。
更地渡しでの売却が向いているケースとは?
上記を踏まえると、更地渡しでの売却に向いているのは、次のようなケースです。
- 築年数が経ちすぎて居住用に適さない
- リフォーム物件として需要がない
- 現行の耐震基準に適していない
- 見た目が悪い
建物が居住用として利用できないほどに損傷していたり、リフォームしても使えそうになかったりする場合は、更地渡しが向いています。
建物の見た目や構造に不具合がある場合は、印象が悪いだけでなく、売却後にトラブルになる可能性があるので、解体してしまえばリスクが解消できます。
また、現行の「新耐震基準」に適合していない家は、所得税額から年末の住宅ローン残高の0.7%を控除できる「住宅借入金等特別控除(住宅ローン減税)」が利用できません。
負担を軽減する対策が取れないので、買い手に購入を避けられる可能性があります。
「更地渡し」での売却は注意点も

更地渡しでの売却時には、次の3点にご注意ください。
- 更地渡しの契約条件を明確にする
- 事前に近隣の人に解体工事について伝える
- 解体後は「滅失登記」を行う
更地渡しで売買契約を結ぶ際には、トラブルを防ぐためにも、売主と買主とで次の内容を確認し、取り決めしておきましょう。
- どこまでの範囲で解体(撤去)するか
- 整地まで行うのか
- 庭木やブロック塀などの扱いをどうするか
- 解体のタイミングはいつか
また、解体工事は騒音の発生や人の出入りがあるので、事前に近所の人に工事日などを伝えておき、きちんと挨拶しておくと良いでしょう。
最後に、滅失登記は解体後の1カ月以内に必ず行ってください。
申請を怠ると、10万円以下の過料に処される恐れがあるので注意が必要です。
更地渡しのデメリットでもお伝えしましたが、解体後に買主がローン審査に落ちてしまい購入できなくなった場合、解体費用の回収はできません。
せっかく更地にしたのに買い手が見つからない場合、更地の高い固定資産税を払い続けることになるため、解体のタイミングには十分注意しましょう。
「古家付き土地」と「更地渡し」の選択は物件の状態で判断しよう
「古家付き土地」は、土地のみの価格で建物付きの土地を売却する方法です。
解体費用はかかりませんが、家の管理に手間やお金がかかったり、価格交渉が入って値引きされやすいデメリットもあります。
更地渡しは、売買契約後に売主負担で建物の解体や整地をし、土地だけにして引き渡す方法です。
更地の状態で買主に渡るので土地の使い方が限定されず売却しやすく、売主にとっても売れることがわかってから解体ができるというメリットがあります。
どちらの方法が良いかは、家の状態や見た目、リフォームの需要などで判断できます。
更地渡しの場合は、契約条件を明確にし、解体工事について近隣の人に事前に伝えておくとトラブル回避に役立ちます。
不動産売却について悩んだときは、ぜひ不動産会社にご相談ください。
千葉エリアの不動産売却のお悩みは、「イエステーション」がサポートいたします!

多古町店 前島 亮
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