不動産売却のコツ

相続財産清算人(相続財産管理人)が不動産売却をする流れを解説

こんにちは。千葉エリアの不動産会社「イエステーション」前島です。

 

不動産売却をする際に、亡くなった人の財産の相続人がいない(あるいは不明)場合に、被相続人の財産を管理・清算する役目を持った人のことを「相続財産清算人(相続財産管理人)」といいます。

 

令和5年から「相続財産清算人」という名称になっていますが、まだ名称の変更を知らなかったり、「何をするのだろう」「どんなときに必要なのだろう」と詳細まではわからない方もいるかもしれません。

 

今回は、この相続財産清算人について説明するとともに、相続財産清算人が不動産売却をする流れを解説します。

 

注意点もあわせてご紹介しますので、ぜひ参考にしてください。

家系図

 

 

相続財産清算人(相続財産管理人)とは?

相続財産清算人(相続財産管理人)とは、被相続人の財産の相続人の存在が明らかでないとき、家庭裁判所の選任で財産の管理や清算を行う人です。

 

【相続人の存在が明らかでないとき】

  • 戸籍上相続ができると定められた人がこの世にいない(あるいは不明)
  • 相続放棄するなど相続の権利がなくなって相続人がいない

参考:民法第951条

※2024年2月時点

 

相続放棄については「空き家を相続放棄したら管理責任はどうなる?デメリットや注意点も」で詳しく解説していますので、ぜひ参考にしてください。

 

上記の場合に財産の清算を行いたいなら、相続財産清算人が必要になります。

よくあるケースとしては、被相続人に借金があり、土地や建物を売却して融資分を回収したい場合が挙げられます。

 

相続人がいないと、被相続人の財産を売却して現金化したり、借金の返済をしたりといった処分行為ができません。

管理の手も入れられないため、放置状態が続けば経年劣化や犯罪への利用など、周囲に悪影響をおよぼす場合もあるでしょう。

 

また、相続人がいない場合には、被相続人の内縁の配偶者や身の回りを世話していた人など「特別縁故者」が財産分与を受けられる制度があります。

 

しかし、分与を受けるために不動産を勝手に処分はできないため、相続財産清算人を選任し、売却などの手続きをしてもらう必要があるのです。

 

 

相続財産清算人(相続財産管理人)が不動産売却を行う流れをご紹介

相続財産清算人(相続財産管理人)が不動産売却を行う方法を確認していきましょう。

 

選任から売却へと進む流れは、次のとおりです。

  1. 相続財産清算人の選任申し立てを行う
  2. 申し立ての受理・選任の審理を通過して選任
  3. 家庭裁判所に不動産売却の許可を得る
  4. 売買前に不動産の名義変更を行う
  5. 不動産の売却を行い、買主へ名義を変更する

 

それぞれの内容について、詳しくご紹介します。

 

1.相続財産清算人の選任申し立てを行う

相続財産清算人は自動的に設定されるわけではなく、必要書類を揃え、被相続人の最後の住所地にある家庭裁判所に選任の申し立てを行う必要があります。

 

選任の申し立ては、先に挙げた被相続人の債権者や特別縁故者など「利害関係人」と、検察官にのみ行えます。

 

【申し立てに必要な書類】

  • 申立書
  • 被相続人の住民票除票または戸籍附票
  • 被相続人の財産を証明する書類(通帳のコピー、不動産の登記事項証明書など)
  • 被相続人の出生時から死亡時までがわかるすべての戸籍謄本
  • 利害関係がわかる書類(金銭消費貸借契約書のコピーなど)

参考:裁判所「相続財産清算人の選任

※2024年2月時点

 

戸籍謄本は、「被相続人の法定相続人がいないことが証明できる戸籍謄本」「被相続人の父母の出生時から死亡時までがわかるもの」「子ども・兄弟姉妹・おい・めいがいる場合、その出生時から死亡時までがわかるもの」が必要です。

 

相続財産清算人の候補者がいるなら、住民票または戸籍附票をあわせて提出できます。

 

ただし、家庭裁判所は管理に最も適すると判断した人が選ばれるため、選任の確約とはなりません。

専門家である弁護士や司法書士などが選ばれる可能性もあります。

 

2.申し立ての受理・選任の審理を通過して選任

相続人がいないことや利害関係が認められるなどして、申し立て内容に問題がなく、相続財産清算人が必要だと判断されれば、管理に相応しい人が選任されます。

 

3.家庭裁判所に不動産売却の許可を得る

選任された相続財産清算人が不動産売却を行うには、家庭裁判所の許可が必要です。

 

このとき、予定の売却価格と売却先を提示しますが、価格は不動産の価値にあった適切な金額でないと許可が下りません。

 

一般的には不動産鑑定士に鑑定してもらい、公正な評価を付けてもらった上で価格を設定します。

 

4.売買前に不動産の名義変更を行う

相続人の存在が明らかでない場合、被相続人の財産は法人名義となります(民法第951条)。

しかしながら、登記簿上の名義変更は自動で行われないので、相続財産法人となった旨を登記し、被相続人から所有者を変更しておく必要があります。

 

5.不動産の売却を行い、買主へ名義変更する

相続財産清算人が不動産売却を行う場合は、家庭裁判所の許可が得て裁判所が認めた範囲内で売買契約を結べる「任意売却」か、オークション形式の販売方法である「競売」のどちらかです。

 

いずれの場合も、買主への名義変更「所有権移転登記」を行い、売却完了です。

 

 

相続財産清算人(相続財産管理人)が不動産売却を行う注意点と生前対策

最後に、相続財産清算人(相続財産管理人)が不動産売却を行う際の注意点と、不動産の所有者ができる生前対策をご紹介します。

 

注意点:申し立てには費用がかかる

特に気を付けたいのは、相続財産清算人への報酬など、財産管理に必要な費用として「予納金」が必要になる場合があることです。

 

【申し立てに必要な費用】

  • 収入印紙:800円
  • 連絡用の郵便切手(申し立てする家庭裁判所に確認)
  • 官報広告料:5,075円
  • 予納金(金額は家庭裁判所より知らされる)

参考:裁判所「相続財産清算人の選任

※2024年2月時点

 

財産管理にかかる費用は被相続人の財産から支払われる仕組みですが、場合によっては不足となることもあるので、申立人にあらかじめ支払ってもらうということです。

 

不動産を売るなどして金額が余れば、先に払った予納金は返還されるものの、なかには100万円ほどになる場合もあります。

 

事案によってさまざまなので、「予納金の用意が必要になるかもしれない」と心づもりをしておいたほうが安心ですね。

 

生前対策:あらかじめ財産の相続人を用意しておく

不動産の所有者が生前に相続人を用意しておけば、相続財産清算人に頼る必要はありません。

 

方法は次の2つです。

  • 遺言書を作成し、誰にどの割合で相続させるのか定めておく
  • 養子縁組制度を利用する

 

遺言書で財産を引き継ぐ人や相続の割合を決めます。

例:「財産の3分の1を〇〇に受け継がせる」「〇〇に財産のすべてを遺贈する」など

 

紛失や偽造を防ぐため、公正証書を作成するのがおすすめです。

 

また、養子に法定相続人として財産を引き継がせる方法もあります。

制度を悪用されないように、人となりを良く知り、信頼できる人を選ぶことが大切です。

 

 

相続財産清算人(相続財産管理人)が不動産売却を行うには許可が必要

とは、被相続人の相続人の存在が明らかでないとき、亡くなった人の代わりに財産の管理や清算を行う役目を負った人のことです。

 

故人が生前融資を受けていても、債権者は勝手に財産を売って返済に充てることはできませんし、特別縁故者が財産贈与を受けたくても、手続きができません。

 

利害関係人は、家庭裁判所に相続財産清算人選任の申し立てを行い、財産の清算を請求することになります。

また、相続財産清算人が売却を行う際には任意売却または競売が可能です。

 

申し立て時には予納金の納付を求められることがあるので、100万円以下のまとまった額が必要になるかもしれないという心づもりもしておきましょう。

 

不動産売却に悩んだときは、ぜひ不動産会社にご相談ください。

千葉エリアの不動産売却のお悩みは、「イエステーション」がサポートいたします。

 

相続財産清算人(相続財産管理人)が不動産売却をする流れを解説

多古町店 前島 亮

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