マンション売却は大規模修繕の前?後?メリット・デメリットを確認!
こんにちは。千葉エリアの不動産会社「イエステーション」前島です。
「マンションの売却は、大規模修繕の前と後のどちらが良いのだろうか」
マンション売却をご検討中の方には、そんな疑問をお持ちの方もいらっしゃるのではないでしょうか。
大規模修繕とは、数年単位で計画的に行われるマンションの修繕・改修工事のこと。
工事前と工事後ではメリット・デメリットが異なるため、売却のタイミングが重要です。
そこで今回のコラムでは、マンション売却は大規模修繕の前と後どちらで行うべきかを徹底解説!
各タイミングのメリット・デメリット、時期や費用を確認する方法もあわせてご紹介しますので、ぜひ参考にしてください。
マンション売却に影響する「大規模修繕」とは?
大規模修繕とは、一定期間ごとに計画(長期修繕計画)を立てて行われる修繕・改修工事をいいます。
ここではまず、大規模修繕の工事周期の目安や工事内容、修繕の費用である「修繕積立金」について確認しましょう。
大規模修繕は12~15年周期が一般的
大規模修繕工事は、マンションの劣化状況や日常的な修繕の履歴など、物件の状態によって異なりますが、おおよそ12〜15年周期で行われるのが一般的です。
長期修繕計画では、大規模修繕の工事内容や時期、おおよその費用が設定されます。
ただし、一定期間(5年ほど)ごとに物件の状態を改めて調査し、その結果に応じて見直すよう国土交通省の「長期修繕計画作成ガイドライン」に定められています。
大規模修繕の内容は?
大規模修繕では、マンションの建物や設備を修繕して機能・性能を回復させたり、必要であれば耐震性能や居住性能などの向上を図ったりします。
1回目(築後約12〜15年)の工事は、外壁塗装や屋根の防水工事など外観の補修を主に行い、2回目(築後約24~30年)では、上記と合わせて耐用年数が経った設備(エレベーターなど)の取り替えも行われます。
3回目(築後約36〜45年)になると、ドアやサッシなどの交換や、給排水、ガス管など設備関係の工事も適宜追加されるイメージです。
工事費用には「修繕積立金」が徴収される
工事にかかる費用は、マンション住民から「修繕積立金」として毎月徴収されます。
月々積み立てる理由は、1戸あたり100~125万円ほどが相場と工事費用が高額であり、一括に捻出するとなると支払えない住民が発生する恐れがあるからです。
計画における工事項目が増えてしまったり、工事費の値上がりなどで積立金が足りなかったりすると、工事前に増額されたり、一時金が徴収されたりします。
大規模修繕は、マンションの資産価値を維持するために重要な工事です。
修繕積立金の支払いが滞ったまま放置すると、物件を競売にかけられる恐れもあるのでご注意くださいね。
詳しくは「マンションの管理費・修繕積立金を滞納しても売却は可能?」にて解説していますので、ぜひあわせて参考にしてください。
マンション売却を大規模修繕の【前】に行うメリット・デメリット
結論から先に言うと、マンションの売却は大規模修繕の前に行うことをおすすめします。
大規模修繕後に行う場合と比較して、総合的なメリットが大きいからです。
売却を大規模修繕の前に行うメリット・デメリットは次のとおりです。
【メリット】
- 内覧がしやすい
- 工事中の居住を避けられる
- 修繕積立金の増額前ならマンション価格を下げずにすむ
【デメリット】
- 物件のきれいさをアピールしにくい
それぞれ解説します。
メリット①:内覧がしやすい
大規模修繕の工事前に売却活動を行えば、工事の足場やシートなどの覆いで内覧に支障が出ることを避けられます。
外観がわかりづらくなるのはもちろんですが、足場やシートのせいで、窓からの光が遮られて室内が暗くなったり、部屋からの眺望がうまく見れなかったりするでしょう。
内覧の成功は、いかに内覧者に生活のイメージをもたせるかにあります。
高層階の見晴らしの良さが魅力の物件は特に、工事前を避けたほうが内覧者のイメージアップにつながるでしょう。
メリット②:工事中の居住を避けられる
大規模修繕前に売却して新居に移れば、工事中に住むことはなくなります。
工事が始まれば、足場やシートの設置によって太陽光が遮られたり、洗濯物が干しにくくなったり、といった生活面での影響がありますし、工事の騒音、工事に関わる人の出入りによって、ストレスを感じる人も少なくないでしょう。
工事期間はマンションの規模によって異なりますが、50戸以下の規模の小さなマンションの場合の目安は2〜3カ月。
50〜100戸の中規模マンションでは3〜6カ月、100戸以上のマンションなら6〜8カ月程度の期間を要します。
工事期間が長いほどストレスが積み重なる可能性が高いので、工事前に売るメリットは大きいでしょう。
メリット③:修繕積立金の増額前ならマンション価格を下げずに済む
分譲マンションの購入希望者は、マンションの購入価格だけでなく、住宅ローンの月々返済額や、管理費・修繕積立金などランニングコストもあわせて購入の判断材料にします。
そのため、修繕積立金の増額は、マンションの売却価格を下げる要因になります。
積立金の増額の代わりにマンションの価格(住宅ローン返済額)を引き下げないと、買い手の購入意欲が下がり、売れなくなる可能性があるからです。
大規模修繕前に修繕積立金が不足していると、管理組合にて修繕積立金の増額や、一時金の徴収といった解決策が採られる場合があります。
増額が可決されれば、売却する際の重要事項説明書にて買い手に告知する義務が発生します。
増額が可決される前に売却すれば、売り出し価格を下げなくて済みますし、売り主自身が増額の負担を負う必要はなくなります。
デメリット:物件のきれいさをアピールしにくい
築年数が経つごとに、外壁など建物の見た目は機能は劣化していき、その価値の減少を補うのが大規模修繕の目的です。
基本的には、修繕前の売却では修繕後に比べてマンションのきれいさをアピールしにくいでしょう。
物件の状態によっては、減額交渉を持ち掛けられる場合もあります。
ただし、築年数が浅い物件であれば、外観や設備の劣化も進んでおらず、見た目がきれいなケースは多いといえます。
工事前の売却でも「築浅物件」として販売できれば、高く売れる期待が持てます。
マンション売却を大規模修繕の【後】に行うメリット・デメリット
マンションの売却は大規模修繕の前に行うことを基本的におすすめしますが、大規模修繕の後に行うメリット・デメリットも知っておくことが大切です。
どちらのタイミングが向いているか判断するためにも、確認していきましょう。
【メリット】
- 物件のきれいさをアピールしやすい
- 築年数の古さによる不安を解消しやすい
【デメリット】
- 修繕積立金が値上がりしやすい
それぞれ解説します。
メリット①:物件のきれいさをアピールしやすい
大規模修繕を行ったあとは、修繕や改修がなされることで、外観や共用部分が工事前よりもきれいになります。
修繕後のほうが、物件のきれいさを買い手にアピールしやすいでしょう。
中古マンションの買い手は、築年数相応の経年劣化は予想しています。
しかし、外観の塗装が塗り直してあったり、損傷部分が補修されていたりすると、やはり見た目の印象が違いますし、修繕して真新しい見た目となれば「思った以上にきれいだ」と印象アップにつながります。
メリット②:築年数の古さによる不安を解消しやすい
修繕だけでなく、改修工事がなされた場合は、性能がグレードアップしたことも伝えてあげると、買い手の不安を解消しやすいでしょう。
例えば、以下のような点です。
- 屋根に防水機能が付いた
- 耐震性能が上がった
- エントランスに防犯対策が実施された
- 照明器具がLEDになった
- ガス給湯器から電気給湯器に変わった など
築年数が古くなればなるほど、建物や設備に不安を覚える買い手も多いでしょう。
工事で何が変わったのか、「築年数は古いけどきちんと改修している」と改良ポイントを教えてあげると効果的です。
「築年数による経年劣化が目立つけど立地は良い」といったマンションなら、工事後に売り出すことで評価が高まり、高く売れる期待も持てます。
デメリット:修繕積立金が値上がりしやすい
大規模修繕後に売却するデメリットは、修繕積立金が値上がりしやすい点です。
国土交通省の「令和3年度マンション大規模修繕工事 に関する実態調査」によると、工事1回目の工事費用は「4,000~6,000万円」、2回目では「6,000~8,000万円」となり、3回目以降となると「6,000~8,000万円」「1億~1億5,000万円」の割合が多数を占めています。
工事回数が増えるごとに、工事にかかる費用、すなわち修繕積立金は増加する傾向があります。
築年数が経って劣化箇所が増えた分、工事すべき部分も増えるからでしょう。
「修繕積立金の値上がり=マンション価格の低下」につながる可能性が高いですし、毎月のランニングコストが上がるため、買い手が付きにくい恐れもあります。
マンションの大規模修繕の時期や費用を確認するには?
マンションの売却を行うなら、次の2点を確認しましょう。
- いつ大規模修繕工事が行われるのか
- 修繕積立金の値上げは予想されるのか
工事の時期を知ることで売却スケジュールを立てられますし、修繕積立金の値上げが予想できれば、値上げの可決前に行動に移せます。
まず、工事時期については、マンションの管理組合や管理会社に問い合わせて「長期修繕計画」を確認しましょう。
いつ工事が行われるか、どのくらいお金がかかるのかといった推定される工事予定が記載されています。
続いて、修繕積立金の値上げ予想の方法ですが、次の2点が必要です。
- 長期修繕計画にて推定修繕項目を確認する
- 「収支計画表」にて修繕積立金の金額を調べる
1つ目は、推定される修繕項目(次回の修繕で行われる予定の工事内容)に漏れがないか調べることです。
高額な工事項目が計画から漏れていると、計画の見直し時に足りない工事費用の分、修繕積立金が値上げされる可能性があります。
国土交通省の「マンション管理標準指針 コメント」に修繕工事項目が記載されているので、比較・項目の漏れがないかチェックしておきましょう。
2つ目の「収支計画表」は、これまで住民が積み立てた修繕積立金の額を記載した書類です。
長期修繕計画とあわせて取得しておきましょう。
計画にある概算の工事費用と積立金の額を比べて、工事費用に足りるかどうか計算してください。
不足があるようなら、一時金の徴収や、積立金の値上げが予想されます。
増額される前に売るか、大規模修繕を待ってから売るかは、先にお伝えしたメリット・デメリットを考慮して検討しましょう。
マンションの売却は大規模修繕の前がおすすめ
大規模修繕とは、一般的に12〜15年ごとに計画立てて行われる、修繕・改修工事をいいます。
高額な工事費用がかかるため、管理組合が住民より「修繕積立金」を毎月徴収する仕組みです。
大規模修繕のあとは修繕積立金が増額される傾向にあり、基本的にはマンション売却は大規模修繕の前に、とりわけ増額が管理組合にて可決される前に行うのがおすすめ。
増額されるとマンション価格を下げる必要や、買い手が付きにくいデメリットがあるからです。
修繕積立金の値上げ予想は、管理組合から「長期修繕計画」と「収支計画表」を取得し、工事の概算費用と積立金の額を比較することで行えます。
積立金の額が少なく、工事費用に足りない場合は、増額が予想されるでしょう。
悩んだときは、ぜひ不動産会社にご相談ください。
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多古町店 前島 亮
売却は一生に何度もあるものではございません。
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