インスペクションは中古住宅の売却時に必要?メリットや費用も解説
こんにちは。千葉エリアの不動産会社「イエステーション」前島です。
中古住宅の売買にあたっては、インスペクションを実施することがあります。
対象の中古住宅の状態を把握できるインスペクションは、売主にとっても買主にとってもメリットとなる工程です。
この工程を経ることで、住宅の売買はよりスムーズに進む可能性があるため、詳細を知っておくことをおすすめします。
今回は中古住宅の売却におけるインスペクションの概要と、そのメリット、かかる費用などをわかりやすく解説しますので、ぜひ参考にしてみてくださいね!
インスペクションとは?説明が義務化された理由
まずは、インスペクションの概要をご説明します。
インスペクションについて定められた義務や、「瑕疵保険検査」との違いもあわせてお伝えしますね!
インスペクションとは?
インスペクションとは、簡単に言うと不動産調査のこと。
特に中古住宅の売買にあたって事前に行われる、対象の建物の調査・診断を指すことが多いです。
インスペクションでは、建物の欠陥の有無や劣化の具合などが調査されます。
その上で、修繕が必要な場合には、その箇所や費用、実施すべきタイミングなどの助言も受けることができます。
建物売却前の修繕・リフォームについては「家を売却する前にリフォームは必要?メリット・デメリットも確認」をご一読ください。
建物の状態を正しく判断しなければならないインスペクションは、建築に関する知識や資格を有する専門家によって実施されます。
その実施の依頼は、売主・買主のどちらが行っても構いません。
売買契約前のインスペクションの実施は、中古住宅の売却・購入を安心して行うため、また後のトラブルを避けるためにも効果的です。
インスペクションの調査項目
インスペクションの主な調査項目は次のとおりです。
【構造耐力に関する調査】
基礎、土台、床組、床、壁、梁、柱、小屋組、天井、軒裏、バルコニーなど
【雨水の侵入防止に関する調査】
屋根、壁、開口部、小屋組、天井、軒裏、バルコニーなど
【設備配管に関する調査】
給水・給湯管、排水管、換気ダクト、電気設備、ガス設備など
上記は一般的な調査項目ですが、実際の調査内容には会社によって違いがあるので注意しましょう。
状況によっては、専用の機械を用いながら、建物の傾斜や鉄筋の状態を調査することもあります。
また、これらの調査にかかる目安の時間は、中古の一戸建てで2〜5時間、中古マンションで1.5〜2.5時間程度。
建物の広さや状態によっては、これよりも長い時間を要する可能性もあります。
インスペクションは買主への報告・説明の義務がある
今までインスペクションについて法的な決まりは定められていませんでしたが、2018年に改正された宅建業法で、不動産会社に対し、インスペクション実施の有無やその調査結果を売主や買主に報告・説明する義務を課すことになりました。
ただし、インスペクションの実施自体は義務化されていません。
また、2020年の民法改正では、中古住宅の売買に関連するルールがより厳しくなりました。
これにより、欠陥のある住宅を売却した場合の売主の責任がより大きくなったことから、売買契約前のインスペクションの利用は広がっていくと考えられます。
インスペクションと「瑕疵保険検査」との違いは?
瑕疵保険検査も瑕疵(不具合)がないかをチェックする検査のため、インスペクションとどう違うのか聞かれることが多いです。
こちらについても、参考にご説明します。
【瑕疵保険検査】
- 購入した建物に瑕疵(不具合)があった場合に備える瑕疵保険への加入時に、その建物が加入基準を満たしているかどうか調べるための検査
- 検査が行われるのは補償対象の箇所だけで、修繕の助言などは行われない
瑕疵保険検査は、あくまで保険に加入するための検査です。
それに対し、インスペクションは建物の状態を正しく把握するために行うもの。
瑕疵保険検査は部分的に行われますが、インスペクションでは調査は網羅的に実施されます。
中古住宅の売却でインスペクションを行うメリット・デメリット
ここからは、中古住宅の売却にあたって、契約前にインスペクションを実施するメリットとデメリットをご紹介します。
中古住宅の売却におけるインスペクションのメリット
まずは、中古住宅の売却におけるインスペクションのメリットを、売主・買主双方の視点からみていきましょう。
売主にとってのメリット
インスペクションの実施には、売主にとって次のメリットが期待できます。
- 物件を好条件で売れる可能性が高くなる
- 売却後のトラブルを回避できる
インスペクションを行った物件は、「インスペクション済」として売り出すことで、ほかの物件との差別化を図ることができます。
インスペクション済みであれば、物件の購入を検討している買主にとっての安心感は高まり、より良い条件で売買契約が成立する可能性は高くなるでしょう。
また、専門家の調査により建物の状態を客観的に把握しておくことは、トラブル回避にも効果的です。
インスペクションを事前に行っておけば、なかったはずの欠陥に対して、後から買主にクレームを入れられたり修繕費を請求されたりするようなトラブルを避けることができます。
買主にとってのメリット
インスペクションの実施には、買主にとって次のメリットが期待できます。
- 安心して中古物件を購入できる
- 購入後のトラブルを回避できる
- 専門家による助言を受けられる
- リフォームの計画を立てやすい
中古物件の購入にあたっては、新築物件を購入する場合に比べ、不安を感じる人が多いでしょう。
しかし、インスペクション実施済みの物件であれば、欠陥の有無などの情報が明確に示されるため、買主は建物の状態を正しく把握し、納得いく物件を安心して購入することができます。
これは、売主とのトラブル防止にも効果的です。
またインスペクションにあたっては、専門家による修繕などの助言を受けられます。るため、従って、その後のリフォームの計画も立てやすくなるでしょう。
中古住宅売却におけるインスペクションのデメリット
次に、中古住宅の売却におけるインスペクションのデメリットを、売主・買主双方の視点からみていきます。
売主側のデメリット
インスペクションの実施によって、売主は次のデメリットを負う可能性があります。
- 費用負担が発生する可能性がある
- 売却が不利になる可能性がある
インスペクションの実施には費用がかかります。
さらに、欠陥が見つかり修繕が必要となった場合には、修繕費も発生します。
場合によっては、売主はこれらの費用を負担しなければなりません。
また、インスペクションでは、物件に修繕できないくらいの欠陥が発見されることもあるでしょう。
このような場合には、売却に不利になってしまうことも考えられます。
買主側のデメリット
インスペクションの実施によって、買主は次のデメリットを負う可能性があります。
- 費用負担が発生する可能性がある
- 他者に物件を先に購入されてしまう可能性がある
インスペクションの費用は、必ず売主が負担するわけではありません。
買主主導で行う場合には、インスペクションの費用は買主が負担することとなります。
ただし、せっかく費用を出してインスペクションを行っても、その結果が希望と異なり、購入に至らない可能性もあることを理解しておきましょう。
また、インスペクションの実施には数週間程度かかりますが、その間に他者がインスペクションなしで対象物件を購入してしまうこともあります。
特に人気物件の場合、購入は早い者勝ちになってしまいやすいのでご注意ください。
中古住宅の売却でインスペクションを行う費用や時期は?
最後に、中古住宅の売却でインスペクションを行うための費用と時期についてご紹介します。
中古住宅におけるインスペクションの費用相場
インスペクションに必要な費用の相場は5〜15万円程。
一戸建てのほうがマンションよりもやや高くなることが多く、またより詳しく検査したい場合には、オプション料金が発生します。
ただし、会社や状況によって実際の金額は異なります。
インスペクションの依頼にあたっては、実施会社に明確な金額を提示してもらうようにしましょう。
また、インスペクションには補助金を適用できる可能性もあります。
費用負担を軽減するためにも、国や自治体の制度については、事前に確認しておくことが大切です。
中古住宅の売却でインスペクションを行うべき時期
中古住宅の売却にあたっては、どのタイミングでインスペクションを行っても構いません。
一番おすすめなのは、買主が購入の意思を示した申し込みのタイミング。
契約前のこの段階でインスペクションを行えば、万が一欠陥が見つかった場合でも、買主は購入を取りやめることができます。
トラブルを避けるという点でも、申し込みのタイミングでのインスペクションの実施は、売主・買主の双方にとってメリットとなると考えられます。
中古住宅の売却は事前のインスペクションでトラブル回避
インスペクションとは、主に中古住宅の売買契約前に行う不動産調査のことを指します。
この調査では、専門家が対象の建物の欠陥や劣化の状態を調査し、その結果報告と助言を行います。
インスペクションは、売主にとっても買主にとってもメリットのある調査です。
特にトラブル回避には効果的であり、中古住宅の安心な売買につながります。
ただし、インスペクションの実施には費用がかかること、調査結果によっては、物件を売却できない・購入に至らない可能性もあることは理解しておきましょう。
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多古町店 前島 亮
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