空き家のこと

空き家の売却に税制優遇はある?条件や注意点などを詳しく解説!

こんにちは。千葉エリアの不動産会社「イエステーション」前島です。

 

「空き家の売却では、税制優遇を受けられるのだろうか?」

空き家の売却を検討中の方には、そんな疑問をお持ちの方もいらっしゃるのではないでしょうか。

 

結論からいえば、相続(または遺贈)で取得した空き家を売却し、適用条件を満たすことで、税金の負担を軽減できます。

 

今回はこの空き家の売却で利用できる税制優遇について、詳しく解説します。

適用条件や注意点もあわせてご紹介しますので、ぜひ参考にしてくださいね!

 

※2023年8月時点の情報です

税制優遇

 

 

空き家の売却で発生する「譲渡所得税」とは?

空き家に限らず、不動産を売却することで得た利益を「譲渡所得」といい、譲渡所得金額に対して課税される税金が「譲渡所得税」です。

 

この場合の利益とは売却代金ではなく、次の計算式で得られた金額を指します。

 

譲渡所得金額=売却代金-(取得費+譲渡費用)

 

取得費とは、不動産の購入代金や建物の建築費用など、物件の取得にかかった費用です。

譲渡費用は、仲介手数料や売買契約にかかった印紙税など、物件の売却に要した費用をいいます。

 

つまり、空き家を売った代金から、取得や売却の費用を差し引いて利益(譲渡所得)が残れば、譲渡所得税の支払い義務が発生するということです。

 

譲渡所得金額を算出したら、次の式で譲渡所得税額を求めます。

 

譲渡所得税額=(譲渡所得金額-特別控除額)×税率

 

税率は、売却物件の所有期間によって2通りに分かれ、売却した年の1月1日時点で所有期間が5年を超えていたら「長期譲渡所得」、5年以下ならば「短期譲渡所得」となります。

 

譲渡所得税には、所得税と住民税、平成25年(2013年)1月1日から令和19年(2037年)12月31日までは復興特別所得税(所得税の2.1%相当額)が含まれ、内訳は次の表の通りです。

譲渡所得

 

 

空き家の売却には税制優遇がある!

空き家を売却した際、一定の条件を満たすことで「被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの特例(以下、空き家を売ったときの特例)」という税制優遇制度を適用できます。

 

適用した場合、譲渡所得金額から最高3,000万円まで控除できるというものです。

 

譲渡所得税の計算式は先ほどご紹介したように、「(譲渡所得金額-特別控除額)×税率」。

制度を適用すれば「特別控除額」として譲渡所得からさらに3,000万円差し引きされます。

 

例として、下記空き家の譲渡所得税を計算してみましょう。

 

所有期間:10年

売却代金:5,000万円

取得費:1,500万円

譲渡費用:200万円

 

<譲渡所得金額>

5,000万円 – (1,500万円 + 200万円) = 3,300万円

 

<3,000万円特別控除を適用しない場合の譲渡所得税額>

3,300万円×20.315%=670.395万円

 

<3,000万円特別控除を適用した場合の譲渡所得税額>

(3,300万円-3,000万円)×20.315%=60.945万円

 

3,000万円特別控除を適用しない場合の課税譲渡所得税額が約670万円であるのに対し、適用した場合の譲渡所得税額は60万円。

 

その差は約610万円と、非常に大きいことがわかります。

 

税制優遇の適用の対象となる物件

「空き家を売ったときの特例」を適用するには、どのような条件があるのでしょうか。

 

「空き家を売ったときの特例」の適用対象となる物件は、次の5つの項目を満たした空き家となります。

  • 昭和56年5月31日以前に建築された
  • 区分所有建物(マンションなど)ではない
  • 相続開始の直前において被相続人以外に居住者がいなかった
  • 相続の時から譲渡の時まで事業用、貸付け用または居住用に利用されていない
  • 一定の耐震基準を満たすものである

 

3つ目の項目について補足すると、亡くなった父親(被相続人)に同居人(妻など)がいた場合や、相続人(自分)と同居するため空き家になった場合は対象となりません。

 

ただし、要介護認定などを受けて老人ホームなどに入所した場合は、相続開始の直前ではなく、入所の直前まで被相続人が住んでいれば対象となります。

 

税制優遇の適用を受ける要件

「空き家を売ったときの特例」を受けるには、被相続人が対象物件となる空き家を売ることが前提となります。

 

売却の条件は次の通りです。

  • 相続の開始があった日から3年を経過する日の属する年の12月31日までに売る
  • 売却代金が1億円以下である
  • 親子や夫婦など特別の関係がある人に対して売ったものでない

 

そのほか、同じ被相続人から相続で取得した別の敷地や家屋があった場合に、すでに特例を受けていた際は、重ねて適用できません。

 

また、売却物件に「相続財産を譲渡した場合の取得費の特例」や「収用等により土地建物を売ったときの特例」といった、ほかの特例を適用していないことも条件の一つです。

 

相続から売却の流れについては「亡くなった親の家を売る方法や流れを確認!かかる費用や注意点も」にて解説していますので、ぜひあわせて参考にしてください。

 

税制優遇は令和5年度税制改正で変更点もある!

「空き家を売ったときの特例」の適用期間は令和5年(2023年)12月31日まででしたが、令和5年度税制改正にて、令和6年(2024年)1月1日〜令和9年(2027年)12月31日に4年間延長されました。

 

特例措置の内容も、以下の2点が変更・新設されています。

  • 売却後に買主が耐震改修工事をした場合も、特例の適用対象になる
  • 相続人が3人以上の場合は特別控除額は2,000万円となる

 

1つ目は、譲渡の日の属する年の翌年2月15日までに、対象物件の買主が耐震リフォームしたり、空き家の解体工事を行ったりした場合は、工事が売却後であっても、適用の対象となるという内容です。

 

改正前では、譲渡(売却)時において一定の耐震基準を満たしておく必要がありましたが、改正後は、買主が新築工事などと一括して耐震リフォームした場合も対象になります。

 

2つ目は、対象不動産の相続人が2人までは最大3,000万円の控除になりますが、3人以上になる場合は1人あたりの控除額が2,000万円に減額されるという内容です。

 

どちらの項目も、令和6年1月1日以降の売却が対象になります。

 

※2023年8月時点の情報です

 

 

空き家の売却で税制優遇を受ける手続きや注意点もご紹介

「空き家を売ったときの特例」の適用は、必要書類をそろえ、確定申告をすることで受けられます。

 

申告期間は、空き家を売却した翌年の2月16日~3月15日の間です。

相続人の住所を管轄する税務署に、売却条件が要件を満たしていることを示す一定の書類等を添えて、申告します。

 

では、適用に必要な書類と、特例を受ける際の注意点もお伝えしていきましょう。

 

適用に必要な書類

特例を受けるために準備する書類は、次の通りです。

  • 譲渡所得の内訳書(確定申告書付表兼計算明細書)【土地・建物用】
  • 登記事項証明書:被相続人から相続したこと、昭和56年5月31日以前に建築されたこと、区分所有建物ではない ことが証明できるもの
  • 被相続人居住用家屋等確認書:空き家の所在地を管轄する市区町村で交付される、相続開始直前まで被相続人が居住用として使用していたことが確認できるもの
  • 耐震基準適合証明書または建設住宅性能評価書の写し:耐震基準を満たしているか示すもの
  • 売買契約書の写しなど:売却代金が1億円以下であることを明らかにするもの

 

参考:国税庁「No.3306 被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの特例

 

税制優遇を受ける際の注意点

「空き家を売ったときの特例」を受ける際には、次の2点にご注意ください。

  • 耐震リフォームが必要な場合があること
  • 相続後に空き家を利用しないこと

 

適用対象の物件は昭和56年(1981年)5月31日以前に建てられたものですので、必然的に現行の「新耐震基準」を満たしていない物件となります(新耐震基準は同年6月1日適用)。

 

空き家を取り壊して更地すれば耐震リフォームは必要ないですが、「建物付きで売りたい」という場合は工事を行う必要があります。

 

そして、相続後に空き家を事業や賃貸、居住用に利用しないようにしましょう。

利用してしまうと、特例の適用対象外となってしまうからです。

 

 

税制優遇を活用して空き家を売却すべき理由

why?

将来的に使う予定のない空き家は、税制優遇を受けてお得に売却することをおすすめします。

 

所有し続けるだけで固定資産税や管理費などがかかりますし、空き家は劣化スピードが早いので、適切に定期管理する手間もあるからです。

 

管理が行き届いていない空き家は、倒壊などの危険や、周りに悪影響をおよぼす状態にあると判断されると「特定空き家」に認定されることがあります。

 

認定を受けた物件の所有者は、自治体から助言や指導を受け、改善が見られなければ固定資産税の優遇などを受けられなくなり、従来の最大6倍の税金負担が必要になる場合も。

 

総務省の「平成30年住宅・土地統計調査」によると、空き家の数は過去最多の848万9,000戸と、増加の一途をたどっています。

 

「特定空き家」の認定も空き家を解消する対策の一環で、認定されるとデメリットしかないため、適切に管理する必要があります。

 

空き家の管理を行う手間を避けたい方は、早めに売却すると良いでしょう。

 

 

空き家の売却時には税制優遇が適用できるか確認しよう

空き家の売却時には、一定の要件を満たすことで「被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの特例」を受けられます。

 

譲渡所得から最高3,000万円を控除できるため、課税される譲渡所得税額が軽減できます。

 

ただし耐震リフォームが必要であったり、相続後に事業や賃貸、居住用に使った場合は対象外になったりするため、満たすべき要件の内容をよく確認しておきましょう。

 

空き家には固定資産税や管理費などお金がかかるほか、定期的に適切な管理をする必要があるため、将来的に使う予定がないのなら、早めに売却して税制優遇を活用することをおすすめします!

 

悩んだときは、ぜひ不動産会社にご相談くださいね。

 

千葉エリアの不動産売却のお悩みは、「イエステーション」がサポートいたします!

空き家の売却に税制優遇はある?条件や注意点などを詳しく解説!

多古町店 前島 亮

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