売主側の売買契約を解除(キャンセル)期限はいつまで?注意点なども解説
こんにちは。千葉エリアの不動産会社「イエステーション」前島です。
不動産売却で買主と売買契約を締結したものの、さまざまな理由からキャンセルしたいという売主の方もいらっしゃるでしょう。
その場合気になることの一つとして、「契約解除の期限」が挙げられます。
今回のコラムでは、売主側で契約解除をする際の期限はいつまでなのかを解説します。
契約解除の方法や注意点もあわせてご紹介しますので、ぜひ参考にしてください。
【売主側】売買契約の解除の期限はいつまで?
不動産売却には、買主と売買契約を結んだあとでも、違約金なしに契約解除できる仕組み「手付解除」があります。
具体的なキャンセルの仕方についてはのちほどご説明しますが、手付解除には期限があり、民法で「取引の相手方が契約の履行に着手するまで」と決まっています。
契約解除の期限「契約の履行に着手するまで」の意味
取引の相手方である買主が履行の着手をするまで、とはどういうことでしょうか。
簡単に言い換えると、「買主が売却物件の代金を支払うまで」ということです。
民法第555条には、「売買は、当事者の一方がある財産権を相手方に移転することを約し、相手方がこれに対してその代金を支払うことを約することによって、その効力を生ずる※」とあります。
つまり、売主が物件を買主に引き渡す(所有権移転する)か、買主が売却代金を払うかのどちらかを行うと、売買契約が成立します。
当事者の一方が契約内容を成し遂げようと取り掛かっているのに(=履行の着手)、もう一方がキャンセルするのは契約違反です。
売主にとっては、買主が代金を払う前にキャンセルを申し出ないと、契約解除に違約金が生じてしまうということですね。
※出典:民法 | e-Gov法令検索
買主が支払う「代金」とは?手付金は売却代金ではない
解除期限のポイントとなる代金とは、売却代金の一部である「内金(中間金)」や「残代金」のことです。
売買契約時に支払われる「手付金」は、契約が完了すれば売買代金に充当されますが、それまでは一時的に売主に預けられるお金であり、代金には含みません。
契約解除となる場合は、買主に返還の必要があるお金だからです。
手付金については、「不動産売却の「手付金」とは?タイミングや相場、注意点を知ろう!」で詳しく解説していますので、ぜひあわせてご参照ください。
解除日の目安とは?一般的には解除の期日を設けることが多い
「売主と買主のどちらかが履行の着手をしない限り解除が可能」という状態が続くと、不安に感じる方も多いでしょう。
そのため個人間取引では、契約解除の期日(手付解除期日)を特約として定めておくのが一般的です。
基本的には、当事者同士の合意で、それぞれの事情を考慮して設定して良いです。
目安として、契約から決済(売却代金の支払い)までの期間に応じて標準となる期日があるので、ご紹介しておきますね。
売買契約から決済の期間 | 手付解除期日の目安 |
1カ月以内 | 残代金支払日の7~10日前 |
1〜3カ月 | 契約日から1カ月前後の日 |
4〜6カ月 | 契約日から2〜3カ月前後の日 |
売主側が売買契約を解除する方法や注意点
契約解除の期限を確認したところで、続いては売主側が売買契約を解除する方法と、解除の際の注意点をご紹介していきます。
売主側が売買契約を解除する方法:「手付倍返し」を行う
売買契約の解除方法は、民法第557条で「買主が売主に手付を交付したときは、買主はその手付を放棄し、売主はその倍額を現実に提供して、契約の解除をすることができる※」と定められています。
売主側からキャンセルする場合は、買主が代金を支払うまでに、買主から預かった手付金を返還し、さらに同額を支払えばOKということですね。
この解除方法は、手付金を倍にして返すので、「手付倍返し」と呼ばれます。
手付金の相場は、売買価格の10%前後が一般的です。
売買価格が4,000万円の不動産売買で400万円の手付金を預かっていた場合は、その2倍の金額の800万円を返すということになります。
※出典:民法 | e-Gov法令検索
手付解除の流れ:書面で買主に通知しよう
手付解除をする際は、なるべく早く仲介を依頼している不動産会社に相談してください。
買主が履行の着手をする前に、担当者の協力を得て、解除手続きをスピーディーに進める必要があるからです。
買主にはまず、電話で手付解除の旨を伝え、その後書類をもって通知しましょう。
電話で伝えただけでは通知の証明ができないため、のちのちトラブルを防ぐためにも、書面で送ることが大切です。
確実性を持たせるなら、通知は配達証明付きの内容証明郵便で行うことをおすすめします。
通知後、手付倍返しを行い、銀行口座が指定されている場合は、口座振込を行う流れとなります。
解除の際の注意点:手付解除期日を過ぎると違約解除となる
特約で設定した手付解除期日を過ぎた場合、または買主から代金の支払いを受けたあとは、手付解除ができなくなります。
期限後に契約解除を行うには、違約金(損害賠償金)を支払う必要があることにご注意ください。
違約金の額は、あらかじめ売買契約書の条項に取り決められるのが通常です。
一般的には、売買代金の20%程度に定められているケースが多いですね。
金銭的な負担が大きくなるので、期日を過ぎないように早めに動くのが無難です。
売主側の売買契約解除の期限は「買主が代金を支払うまで」
買主と売買契約を結んだあとで、契約のキャンセルを行う方法の一つに手付解除があります。
買主から預かった手付金の返還とその同額をあわせて返す「手付倍返し」を行うことで、契約解除が行えます。
ただし、手付解除の期限は、「買主が代金を支払うまで」です。
この場合の代金とは、売却代金の一部である「内金(中間金)」や「残代金」のことであり、手付金は含みません。
また、一般的には不動産売買契約の際に、契約解除の期日(手付解除期日)を定めておくことも多いです。
買主が契約の履行に着手したあと、または手付解除日以降のキャンセル手続きは「違約解除」となり、違約金(損害賠償金)を支払う必要が出てきます。
違約解除となると経済的な負担も大きくなるため、期日までに買主にキャンセルの通知を書面で行い、内容証明郵便で確実に解除の旨を伝えましょう。
悩んだときは、ぜひ不動産会社にご相談ください。
千葉エリアの不動産売却のお悩みは、「イエステーション」がサポートいたします。
多古町店 前島 亮
売却は一生に何度もあるものではございません。
より安心していただけるよう、分かりやすい資料とわかりやすい説明を心がけております。
地元になくてはならない不動産屋としてクオリティの高いサービスをご提供してまいります。