不動産売却の「譲渡所得税」とは?計算方法や税率をチェック
こんにちは。千葉・北総エリアの不動産会社「イエステーション」前島です。
不動産売却に関わる税金のひとつ、「譲渡所得税」。
一般的には、資産の譲渡に関わる税金の総称です。
売却で利益が出たときに発生する税金ですが、そもそも利益とはどの部分を指すのか、どのくらいの金額になるのかなど、気になることも多いですよね。
売却不動産の所有期間によって税率が違ったり、特例が適用されたりもするので、「具体的な計算方法を知りたい!」という方もいるでしょう。
そこで今回のコラムでは、不動産売却における譲渡所得税について徹底解説!
計算方法や特例はもちろん、不動産売却に関わるその他の税金もご紹介します。
不動産売却の「譲渡所得税」とは?
不動産売却における譲渡所得税とは、簡単にいうと「不動産の売却によって得た利益」にかかる税金です。
ただし、さまざまなものを差し引いた上での利益なので、詳しくご説明していきましょう。
また、利益があった場合は確定申告も必要になります。
譲渡所得税が発生する利益の考え方
土地や建物など不動産の売却によって得た利益を「譲渡所得」といいます。
ここでいう利益は売却代金ではなく、売却代金から「取得費」と「譲渡費用」を差し引いた金額です。
取得費とは、不動産の購入代金や建物の建築費用、購入や登記にかかった費用・税金(不動産取得税、印紙税など)を指します。
さらに、建物は購入時から年数が経っていることを考慮し、取得費からは「減価償却費」も差し引きます。
また、相続で得た不動産など、取得にかかった費用が不明の場合は、概算取得費として売却代金の5%相当額を取得費とすることができます。
譲渡費用は、不動産を売却するためにかかった費用のことで、不動産会社に支払う仲介手数料や印紙税、明け渡しのために借家人に支払った立退料を含みます。
不動産の価値を維持・管理するための費用(修繕費や固定資産税など)は譲渡費用には該当しないので、ご注意くださいね。
つまり、譲渡所得税が発生するのは、売却代金から取得費・譲渡費用を差し引いて利益が残っていた場合に限ります。
差し引いてマイナスになる場合(譲渡損失)は譲渡所得が発生せず、税金もかかりません。
譲渡所得があれば売却の翌年に確定申告が必要
不動産を売ることで譲渡所得が発生すれば、課税の対象になり、売却した翌年の2月16日から3月15日までに確定申告を行う必要があります。
申告を忘れて期限が経過してしまったり、税務署から調査を受けたりすると、確定申告にて納める税金の他にも加算税や延滞税の支払いを求められる可能性があります。
ペナルティを受けないよう、確定申告は忘れないようにしましょう。
確定申告について、詳しくは「不動産売却で確定申告が必要な場合は?税計算・手続き・必要書類も紹介」で解説していますので、ぜひあわせてご覧くださいね。
不動産売却で発生する譲渡所得税の計算方法
続いて、不動産売却で発生する譲渡所得税の計算方法を確認しましょう。
譲渡所得は所得の一種ですが、給与所得など他の所得とは別に税額を計算する「分離課税制度」が採用されており、次の計算式で求めます。
譲渡所得税額=(譲渡所得―特別控除額)×税率
特別控除額とは、一定の要件に該当した場合に、税負担が軽減できる控除・特例の対象となる金額です。
不動産売却での税金控除や特例については、後ほど詳しく説明しますね。
まずは、譲渡所得の税率について確認していきましょう。
譲渡所得の税率とは?
譲渡所得に乗算する税率は、売却した不動産の所有期間によって2通りに分かれます。
売却した年の1月1日時点で所有期間が5年を超えていれば「長期譲渡所得」、5年以下ならば「短期譲渡所得」です。
譲渡所得税は所得税と住民税を合算したもので、平成25年1月1日から令和19年12月31日までは復興特別所得税(所得税の2.1%相当額)が含まれます。
それぞれの税率は、所得税・復興特別所得税・住民税の内訳とあわせて、次の通りです。
100万円の譲渡所得があり、売却不動産の所有期間が5年を超えていれば、「100万円×20.315%」の計算式になり、譲渡所得税額は20万3,150円となります。
不動産売却時に譲渡所得税以外にかかる税金
不動産売却時にかかるものとして、譲渡所得税以外の税金も簡単にチェックしておきましょう。
主なものとして、次の3つをご紹介します。
- 印紙税
- 登録免許税
- 消費税(仲介の場合)
印紙税
印紙税とは、印紙税法で定められた課税文書、不動産売却においては主に「不動産売買契約書」に課される税金です。
契約書に印紙を貼り、消印を押すことで納税する仕組みで、印紙の金額は不動産の売却金額に応じて異なります。
契約書に記載された金額が1万円未満であれば非課税となり、金額が上がるにつれて印紙税額も大きくなります。
印紙を貼らなかった、あるいは消印を押していなかった場合は納税したとみなされず、過怠税が課されることがあるため注意しましょう。
登録免許税
登録免許税は、不動産の登記をするときにかかる税金です。
売買・相続・贈与などによる所有権の移転登記や、抵当権の設定や抹消の登記にも登録免許税が課税されます。
基本的に、売却にて所有者の名義変更を行うとき・抵当権を抹消するときは売主が負担し、所有権を移転する場合は買主が負担するのが一般的です。
所有権移転登記は不動産の固定資産税評価額によって税額が異なりますが、抵当権抹消登記は、1件につき1,000円かかります。
土地に建物が建っている場合は、土地・建物をあわせて2件と数え、2,000円必要です。
消費税(仲介の場合)
不動産売買の方法には、不動産会社に仲立ちしてもらう「仲介」と、直接売却できる「買取」があります。
不動産会社に仲介してもらう場合は、売買の成功報酬として仲介手数料を支払い、仲介手数料に対して消費税(10%)が課税されます。
買取を選んだ場合は、そもそもの仲介業務が発生しないため、仲介手数料はかかりません。
不動産売却で活用できる特例を知っておこう
譲渡所得税を計算する際に一定の要件に当てはまると特例を利用することができます。
特例を利用する場合は、差し引いた譲渡所得金額が0円となっても確定申告が必要ですので、覚えておきましょう。
では、特例を簡単にご紹介します。
詳しい適用要件などは国税庁のホームページにてチェックしてみてくださいね。
特定のマイホームを買い換えたときの特例
所有・居住期間ともに10年を超えるマイホームを売却し、新たなマイホームへと買い換えした場合、一定の要件のもと、譲渡所得税を将来に繰り延べられる特例です。
特定のマイホームの譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例
所有期間が5年を超えるマイホームを売却し、損失が出てしまった場合に、一定の要件を満たせば、譲渡損失を同年の給与所得など他の所得から控除(損益通算)できます。
控除しきれない場合は、売却した年の翌年から3年間、繰り越して控除が可能です。
マイホームを売ったときの特例
マイホームを売却したとき一定の条件下で、所有期間の長さに関係なく、譲渡所得から最高3,000万円まで控除できる特例です。
被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの特例
相続前に居住用に使われていた空き家を、平成28年4月1日から令和5年12月31日までの間に売却し、一定の要件を満たすとき、譲渡所得から最高3,000万円控除できます。
マイホームを売ったときの軽減税率の特例
所有期間10年を超える長期譲渡所得に該当するマイホームを売った際、一定の条件のもと、課税される所得金額のうち6,000万円以下の部分について軽減税率が課されます
6,000万円以下の部分は「課税長期譲渡所得金額×10%」、6,000万円超の部分は(課税長期譲渡所得金額-6,000万円)×15%+ 600万円で税額を出します。
※課税長期譲渡所得金額=(土地建物を売った収入金額)-(取得費+譲渡費用)-特別控除
※)平成25年から令和19年までは、復興特別所得税として各年分の基準所得税額の2.1%を所得税と併せて申告・納付することになります
なお、この特例は3,000万円の特別控除と併用可能です。
不動産売却時は場合によって譲渡所得税の申告をお忘れなく
譲渡所得税は、不動産の売却代金から取得費・譲渡費用を差し引いた譲渡所得にかかる税金です。
差し引きして譲渡所得がプラスになれば、譲渡所得税として課税されるので、売却の翌年に忘れず確定申告を行いましょう。
譲渡所得税の計算は、譲渡所得に税率をかけて求めますが、売却不動産の所有期間が5年を超えていれば「長期譲渡所得」、5年以下ならば「短期譲渡所得」の税率を用います。
また、一定の要件に当てはまれば、課税額を抑えられる特例を利用できます。
特例を用いる場合は譲渡所得がなくても必ず確定申告が必要なため、ご注意くださいね。
譲渡所得税以外にも、印紙税や登録免許税、仲介手数料にかかる消費税など不動産売買に関わる税金があります。
不動産売却の際、税金や手続きについて不安があれば、不動産のプロである不動産会社に相談してみてくださいね。
千葉・北総エリアの不動産売却のお悩みは、「イエステーション」がサポートいたします!
多古町店 前島 亮
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