浸水想定区域の家でも売却可能!早期売却のコツと注意点
こんにちは。千葉エリアの不動産会社「イエステーション」前島です。
近年、大雨や台風の影響で水害リスクへの注目が高まり、ハザードマップで初めて「自宅が浸水想定区域に含まれる」と知る人も増えています。
「自宅が浸水想定区域にあるけど、売れるのだろうか…」
「浸水想定区域の家は安くしか売れないのでは?」
そんな不安を抱えている方もいらっしゃるのではないでしょうか。
今回のコラムでは、浸水想定区域にある家の売却について、実際に売れるのか、どのように売却すれば良いのかといった疑問にお答えしていきます。

浸水想定区域の家とは?売却できる?
浸水想定区域とは、大雨や台風、高潮などによる水害のリスクがある地域として、自治体などが指定したエリアのことをいいます。
浸水想定区域にある家でも、売却は可能です。
実際に、こうしたエリアにある物件も多く売買されています。
浸水想定区域は、主に以下の3つに分類されます。
- 洪水浸水想定区域:河川の氾濫による浸水が想定される区域
- 内水浸水想定区域:排水能力を超えた雨水による浸水が想定される区域
- 高潮浸水想定区域:台風などによる高潮での浸水が想定される区域
これらの区域に該当するかは、自治体が発行しているハザードマップや、国土交通省の「ハザードマップポータルサイト」で確認できます。
ただし、「浸水想定区域の家でも問題なく売れるのだな」と安心するのはまだ早いです。
浸水リスクがある地域の物件は、通常の売却とは異なる注意点があるからです。
次のブロックでは、そうした点について詳しく見ていきましょう。
浸水想定区域の家は重要事項説明の対象!価格はどうなる?
浸水想定区域にある家を売却する際には、あらかじめ知っておきたいポイントがあります。
特に注意したいのは、「買主への説明義務がある」ことと、「価格にどのような影響が出るか」という点です。
それぞれについて、順を追って確認していきましょう。
買主への説明は、2020年から義務化されている
まず、浸水想定区域であることは、売主や不動産会社が買主に説明しなければならない重要な情報です。
この説明義務は、2020年(令和2年)8月に宅地建物取引業法施行規則が改正されたことで明確にルール化されました。
現在では、ハザードマップ上で浸水リスクが確認できる地域にある物件について、契約前にその位置を買主へ伝えることが法律で義務付けられています。
つまり、「知らなかった」「黙っていただけ」という言い訳は通用せず、きちんと説明しなければならないということです。
浸水想定区域=価格が下がるとは限らない
「浸水リスクがあると、安くなるのでは?」と不安に思う方もいるかもしれませんね。
ですが実際には、浸水想定区域にあるからといって、必ずしも価格が大きく下がるとは限りません。
不動産の価格は、立地・築年数・建物の状態・周辺環境など、さまざまな要素を総合的に見て決まります。
浸水リスクもその一要素ですが、多くの場合、周辺の取引事例や地域の相場にすでに反映されており、買主もある程度リスクを織り込んだ上で物件を検討しているのが実情です。
そのため、被害歴がなく、特別なマイナス要因がなければ、浸水区域というだけで周辺相場より極端に価格が下がることは少ないといえるでしょう。
被害歴や特殊条件があると影響することもある
一方で、全ての物件が価格の影響を受けないとは限りません。
特に、過去に水害による浸水被害を受けたことがある家では、建物の劣化や再発リスクへの不安が残るため、買主の印象が悪くなりやすく、価格が下がる要因になり得ます。
また、ハザードマップ上で深刻な浸水が想定されている地域では、被害の可能性が強調されることから、買主に敬遠されやすい傾向も。
さらに、最近新たに浸水想定区域に指定されたばかりの地域では、市場の評価がまだ安定しておらず、価格に影響が出るケースも見られます。
このように、物件の状況や周辺地域の条件によっては、想定以上に価格が下がる可能性もあるため、慎重な査定と情報収集が欠かせません。
信頼できる不動産会社に相談し、現実的な売却戦略を立てることが大切です。
浸水想定区域の家を早く売る方法は?

浸水想定区域にある家でも、工夫次第で早期かつスムーズに売却を進めることは可能です。
ここでは、浸水想定区域の家を早く売却するために効果的な方法を3つご紹介します。
1. 浸水被害が出る前に、早めに売却を開始する
まず大切なのは、できるだけ早く売却活動を始めることです。
というのも、もし浸水被害が実際に起きてしまえば、物件価値が大きく下がる可能性があるからです。
一度でも水害を受けたという事実は、価格だけでなく買主の心理にも長く影響します。
売却を迷っている間に被害が発生してしまうと、想定していた条件での売却が難しくなる可能性があります。
近年は気候変動の影響により、過去に浸水実績がなかった地域でも水害リスクが高まっています。
こうした背景を踏まえ、被害のない今のうちに動くことが、結果的に最良の売却タイミングとなることも少なくありません。
ただし、状況によっては、売却の過程で価格の見直しを検討する場面も出てきます。
値下げのタイミングや判断基準については、「不動産売却で値下げをするタイミングはいつ?注意点も確認」でも詳しく解説していますので、あわせてご参照ください。
2. ホームインスペクションを活用して買主の不安を取り除く
売却活動をスムーズに進めるためには、買主の不安をできるだけ取り除く工夫も大切です。
その一つが、ホームインスペクション(住宅診断)の実施です。
これは、建物の構造や設備の状態について専門家が第三者的に調査・診断するもので、「見た目ではわからない不安」を減らす手段として非常に有効です。
特に、浸水リスクがあると買主は「この家、大丈夫かな?」と不安になりがちです。
インスペクションを実施して「住宅の状態に問題なし」と説明できれば、安心材料となり、購入への一歩を後押しできます。
また、診断の結果問題が見つかった場合も、売主としてあらかじめ把握しておくことで、修繕対応や価格調整の判断ができるというメリットがあります。
3. 地域情報に強い不動産会社に相談する
売却を成功させる上で最も重要なのが、地域に詳しく、売却実績が豊富な不動産会社に相談することです。
浸水想定区域の物件は、単に「訳あり」として扱うよりも、その地域での過去の成約事例や、防災状況、買主層の傾向などを理解した上で販売戦略を立てることが求められます。
特殊な事情に対応できる業者もありますが、地域の災害事情やニーズを理解している会社のほうが、現地の実情に合った販売戦略を立てやすく、スムーズな売却につながりやすいでしょう。
例えば地域密着型の会社には以下のような点で、強みがあります。
- 浸水区域内での過去の成約事例を把握している
- 地域の防災状況や将来性を踏まえた現実的な価格設定ができる
- 地元ネットワークを生かし、リスクを許容できる買主と早期にマッチングしやすい
また、こうした不動産会社に相談することで、価格のつけ方や告知義務への対応、ホームインスペクションを行うタイミングなどについても、的確なアドバイスが得られるでしょう。
4. 不動産会社に直接買取してもらう
売却活動に時間をかけたくない、できるだけ手間を省いて早く現金化したいといった場合には、不動産会社による「直接買取」という選択肢もあります。
買取は、仲介のように買主を探す必要がないため、条件が合えば短期間で売却が成立しやすいのが特長です。
価格は相場よりやや下がることもありますが、「管理が大変な物件をすぐに処分したい」「相続後すぐに手放したい」といったニーズには適した方法といえるでしょう。
実際にハウスエージェントでも、相続した土地が浸水想定区域に含まれていて不安を感じていた方へ、買取提案を行った事例もあります。
事例▶相続した土地、浸水エリアに入ってるんだけど売れますか?
売却方法には複数の選択肢がありますので、ご自身の状況に合わせて検討してみることが大切です。
浸水想定区域でも、工夫次第で早期売却が可能に
浸水想定区域にある家でも、対策次第でスムーズな売却は十分に実現できます。
大切なのは、状況を正しく理解し、早めに動くこと。
さらに、買主の不安に配慮してインスペクションを活用したり、地域に精通した不動産会社と連携したりすることで、売却の可能性はぐっと高まります。
「リスクがあるから売れない」「価格が下がっても仕方ない」と思い込まず、冷静に対応を進めることが、納得できる結果への第一歩です。
専門家の知見をうまく活用しながら、前向きに売却を進めていきましょう。
浸水想定区域にある物件の売却に悩んだときは、ぜひ不動産会社にご相談ください。
千葉エリアの不動産売却のお悩みは、「イエステーション」がサポートいたします。

多古町店 前島 亮
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