不動産売却のコツ

亡くなった親の家を売る方法や流れを確認!かかる費用や注意点も

こんにちは。千葉・北総エリアの不動産会社「イエステーション」前島です。

親が亡くなって残った空き家を売却する場合は、自分の家を売却するのとはまた違ったステップが必要になります。

売却の前に相続の手続きが必要だからです。

今回は、亡くなった親の家を売る方法や流れのことについて、家の相続手続きや売却の手続き、かかる税金、注意点まで解説します。

親が残した空き家を売りたいけれど、何から手をつけていいかわからない…という方はぜひご確認ください!

亡くなった親の家を売るのは、どういう流れになる?

亡くなった親の家を売るためには、まずは相続の手続きが必要です。
家が亡くなった親の名義のままでは売ることができません。

具体的には、家を相続して相続登記を行い、それから売却するといった流れになります。
それぞれの手続きについて解説します。

家の相続の流れ

まずは、家の相続が必要です。
相続手続きは以下の流れで進めます。

  1. 遺産相続を確認
  2. 法定相続人を確認
  3. 遺言書を確認
  4. 遺言書、または遺産分割協議書に従って相続
  5. 相続登記の手続き

遺言書があれば遺言書に従って遺産を分割し、なければ法定相続人全員で話し合って相続の内容と方法を決定します。
家を相続する人が決まれば、相続登記の手続きを行い、家の名義を親から相続人へ変更します。

相続に関わる手続きについては、下記のコラムもご覧ください。
不動産相続の期限はいつまで?放置のリスクや手続きの流れも確認!

【相続登記手続きの必要書類】

  • 不動産の登記簿謄本
  • 被相続人の戸籍関係書類
  • 相続人の戸籍関係書類、印鑑証明書
  • 遺言書または遺産分割協議書
  • 相続登記申請書 など

相続登記申請書と必要書類を揃えたら、不動産の住所を管轄する法務局へ申請を行います。
申請は直接提出のほか、郵送やWEBからも可能で、1~2週間ほどで相続登記が完了し、登記書類が返送されてきます。

相続登記手続きに期限はありませんが、相続登記を行わないと売却ができないため、できるだけ早く進めるようにしましょう。

売却の流れ

相続登記が完了し、家が自分の名義になったら売却活動を開始します。
売却は以下の流れで進むのが一般的です。

  1. 不動産の詳細を確認
  2. 売却価格の相場を調べる
  3. 不動産会社へ査定依頼
  4. 不動産会社を決定し、売却を依頼
  5. 購入希望者の内覧対応や交渉
  6. 買主の決定
  7. 不動産売買契約書の締結
  8. 売却金決済と物件引き渡し

複数の不動産会社へ査定依頼を出し、査定結果を見比べて、依頼する不動産会社を選びましょう。

相続した不動産を手放す方法については、下記のコラムでも詳しくご紹介していますので、あわせてご参考ください。
相続した不動産がいらない場合はどうする?手続きについて解説

 

亡くなった親の家を売るときにかかる税金や活用できる特例

家を売却する際、売却した後には状況に応じて税金がかかります。
亡くなった親の家を売る場合も同じで、さらに相続時には相続税もかかる可能性があります。

亡くなった親の家を売る際にかかる税金について、発生する順番に解説します。活用可能な特例についても、あわせてお伝えしますね!

相続税

親の遺産を相続したら、相続税がかかります。
相続税率は10~55%です。

ただし、相続財産すべてにかかるわけではなく、相続財産から基礎控除を引いた額が課税対象。
相続人が複数人いる場合は、相続割合に合わせて按分され、さらに控除額を引いた金額に税率がかけられることになります。

基礎控除:3,000万円+600万円×法定相続人の人数

【相続税率】

法定相続分にあたる金額 税率 控除額
1,000万円以下 10%
1,000万円超3,000万円以下 15% 50万円
3,000万円超5,000万円以下 20% 200万円
5,000万円超1億円以下 30% 700万円
1億円超2億円以下 40% 1,700万円
2億円超3億円以下 45% 2,700万円
3億円超6億円以下 50% 4,200万円
6億円超 55% 7,200万円

※国税庁 相続税の税率より

登録免許税

相続登記の手続きでは、登録免許税の納付が必要です。
登録免許税は登記の原因によって税率が異なり、相続登記の場合は以下になります。

固定資産税評価額×0.4%

土地と建物それぞれにかかります。
固定資産税評価額は、市町村から毎年贈られてくる固定資産税納税通知書にて確認可能です。

印紙税

家を売る際にかわす不動産売買契約書は、収入印紙を貼らなくてはいけません。
この収入印紙の購入費用は、印紙税という税金です。
税額は契約金額によって異なります。

2022年3月31日までは軽減税率が施行されています。

【印紙税額】

契約金額 本則税率 軽減税率
10万円超~50万円以下 400円 200円
50万円超~100万円以下 1,000円 500円
100万円超~500万円以下 2,000円 1,000円
500万円超~1,000万円以下 1万円 5,000円
1,000万円超~5,000万円以下 2万円 1万円
5,000万円超~1億円以下 6万円 3万円
1億円超~5億円以下 10万円 6万円
5億円超~10億円以下 20万円 16万円
10億円超~50億円以下 40万円 32万円
50億円超えるもの 60万円 48万円

※国税庁 不動産売買契約書の印紙税の軽減措置より

譲渡所得税

不動産を売却して利益が出た場合、その利益(譲渡所得)に対して譲渡所得税がかかります。

譲渡所得=売却価格-(取得費-譲渡費用)

取得費とはその不動産を購入したときにかかった費用(物件費用、仲介手数料など)と減価償却費、譲渡費用とは今回の売却にかかった費用のことです(仲介手数料、印紙税、解体費用など)。

譲渡所得税は、不動産の所有期間によって税額が異なります。

  • 長期譲渡所得(5年超):20.315%
  • 短期譲渡所得(5年以下):39.63%

※復興特別所得税含

相続した家を売った場合、相続人の所有期間ではなく被相続人(親など)の所有期間をもとに計算されます。

譲渡所得税の特例を活用!

不動産の売却でかかる税金の中でも譲渡所得税は大きな金額になる可能性があります。
亡くなった親の家を売る場合、以下の税金特例が活用できないか検討してみましょう。

被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの特例

親のマイホームを相続して売却したとき、譲渡所得から3,000万円までを控除できる特例です。
譲渡所得が3,000万円以下なら、譲渡所得税がかからないということになります。

以下のような条件があります。

  • 被相続人(親など)がマイホームとして1人で住んでいた
  • 相続開始から3年目の年の12月31日までに売却する
  • 相続してから売却までに賃貸などに利用していない
  • 親族など特別な関係の相手への売却ではない
  • 昭和56年5月31日以前に建築され、一定の耐震リフォームがされている
  • 1億円以下での売却
  • 2023年12月31日までに売却する

親が長年住んでいた空き家を売却して3,000万円以上の譲渡所得が出ることはあまりないと思いますので、この特例が使えればとても良いですよね!

亡くなった親の家を売る際の注意点や売れない場合の対策

亡くなった親の家を売る場合、相続と売却の2つのステップを踏む必要があります。
その際の注意点や、なかなか売れずに困ってしまった場合の対策を紹介します。

共有名義での相続に注意

家をそのまま複数の相続人で相続することも可能です。
ただし共有名義での相続にすると、不動産を取り壊したり売却したりする際には名義人全員の同意が必要となり、手続きに手間が増えてしまいます。
誰か1人でも反対すると売却もできません。

また、相続人の1人が亡くなると次の代に相続され、名義人が増えてしまうという可能性も。
その後の手続きがどんどん複雑になってしまうので、あまりおすすめできない相続方法です。

契約不適合責任に注意

契約不適合責任とは、不動産の購入後に契約書に記載のなかった不具合などが見つかった場合、売主へ修理費用の請求や損害賠償、契約解除などを求めることができるという権利です。
親の家の場合、相続人が家の状態を細かく把握しているとは限りませんので、売却後にトラブルが起こらないように注意が必要です。

家の状態をしっかり把握し契約書へ記載するとともに、心配点や不明点は必ず不動産会社へ相談するようにしましょう。

なかなか売れない場合は買取、更地売却、賃貸活用などを検討

空き家を相続したけれども、なかなか売れなくて困っているという場合、こんな売却方法もあります。

不動産会社に買取をしてもらう

購入希望者を探すのではなく、不動産会社に直接買い取ってもらう方法です。
古くて売却が難しいような物件でも、早く確実に売却することが可能です。

ただし、売却費用は相場の2~3割程度安くなってしまいます。

更地にして売る

家が古くてなかなか売れない場合は、更地にして土地として売却するのもひとつの方法です。
新築を建てる土地を探している購入希望者に対してアピールができます。

ただし、解体費用がかかること、土地だけになると土地の固定資産税が高くなることに注意が必要です。

解体費用については、下記のコラムで詳しくご紹介しています。
空き家の解体費用の目安は?解体のメリットや費用の抑え方もチェック

 

なかなか売却が進まない場合は、賃貸として活用するのも方法のひとつ。
古民家を改装したお店や、地域交流施設といった需要もあるかもしれません。

 

亡くなった親の家を売るには相続手続きが必要

亡くなった親の家を売る際には、まず相続手続きを行い、家の名義を変更してから売却を行います。

名義変更の手続きに期限はありませんが、親の名義のままでは売却することができませんで、できるだけ速やかに手続きを進めましょう。

その際には、相続税、登録免許税、印紙税、譲渡所得税などがかかります。

譲渡所得税がかかりそうな場合は、相続した空き家を売却する際の譲渡所得控除の特例が使えないか、条件をぜひチェックしてみてくださいね。

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