不動産は生前贈与と相続どちらが得?メリットや注意点を知ろう
こんにちは。千葉・北総エリアの不動産会社「イエステーション」前島です。
親の自宅や土地などの不動産を相続する可能性がある場合、不動産の生前贈与と相続ではどちらが得になるのか考えたことはありますか?
生前贈与では贈与税が、相続では相続税がかかりますが、実はそれ以外にもいろいろな違いがあり、財産や相続人の状況によって考える必要があります。
今回のコラムでは不動産の生前贈与と相続でどちらが得になるのか、それぞれのメリットや注意点を踏まえて解説します。
どんなケースではどちらを選ぶのが良いかもお話ししますね。
不動産の生前贈与と相続どちらが得?どう違う?
不動産の生前贈与と相続の大きな違いは、不動産を渡すタイミングと税金です。
不動産の所有者が生きているうちに指定の人へ渡すのが生前贈与、亡くなってから相続人へ渡すのが相続です。
亡くなる前に贈与してしまえばもちろん相続税はかかりませんが、一般的には相続税よりも贈与税の方が税金が高いです。
ただし、相続税は自分が相続した分だけでなく、遺産の総額や法定相続人数によっても税額が左右されます。
全体の手続きにかかる手間や費用なども総合して考える必要があり、税率だけを見てどちらが得とは一概には言えません。
贈与税の税率と計算方法
贈与税は、20歳以上が直系尊属(両親、祖父母など)から贈与を受けた場合の特例贈与財産と、それ以外の一般贈与財産の2種類の税率があり、税率は以下の通りです。
1月1日~12月31日の1年間に贈与を受けた金額から、110万円の基礎控除を差し引き、以下の控除と税率で計算します。
基礎控除(-110万円)後の課税価格 | 一般贈与財産 | 特例贈与財産 | ||
税率 | 控除額 | 税率 | 控除額 | |
200万円以下 | 10% | なし | 10% | なし |
300万円以下 | 15% | 10万円 | - | - |
400万円以下 | 20% | 25万円 | 15% | 10万円 |
600万円以下 | 30% | 65万円 | 20% | 30万円 |
1,000万円以下 | 40% | 125万円 | 30% | 90万円 |
1,500万円以下 | 45% | 175万円 | 40% | 190万円 |
3,000万円以下 | 50% | 250万円 | 45% | 265万円 |
3,000万円超 | 55% | 400万円 | - | - |
4,500万円以下 | - | - | 50% | 415万円 |
4,500万円超 | - | - | 55% | 640万円 |
※国税庁ホームページ No.4408 贈与税の計算と税率(暦年課税)より
相続税の税率と計算方法
相続税の税率(速算表)は以下の通りです。
法定相続に応ずる取得金額 | 税率 | 控除額 |
1,000万円以下 | 10% | なし |
1,000万円超3,000万円以下 | 15% | 50万円 |
3,000万円超5,000万円以下 | 20% | 200万円 |
5,000万円超1億円以下 | 30% | 700万円 |
1億円超2億円以下 | 40% | 1,700万円 |
2億円超3億円以下 | 45% | 2,700万円 |
3億円超6億円以下 | 50% | 4,200万円 |
6億円超 | 55% | 7,200万円 |
相続税の計算は贈与税と比べて少し複雑で、以下の手順で計算します。
- 遺産総額から基礎控除額(3,000万円+600万円×法定相続人数)を差し引く(課税遺産総額)
- 課税遺産総額を法定相続分に従って各相続人に振り分ける(法定相続に応ずる取得金額)
- 「法定相続に応ずる取得金額」を上記の表に当てはめて、各税額を計算する
- ③で計算した各税額をすべて足して、相続税の総額を求める
- 実際の相続額に応じて相続税の総額を按分する
「3,000万円+600万円×法定相続人数」の基礎控除のほか、配偶者控除や未成年者控除、居住用財産を相続した場合の特例などがあり、条件に合わせて諸々の控除を差し引いていくと相続税が非課税となるケースも珍しくありません。
相続の流れや特例については、下記のコラムでもご紹介しておりますので、あわせて参考にしてみてくださいね。
亡くなった親の家を売る方法や流れを確認!かかる費用や注意点も
不動産を生前贈与するメリットと注意点とは?
不動産を生前贈与するメリットは、不動産の所有者が元気なうちに財産分配を進められることです。
不動産は現金と違って複数人には分けづらいものですが、本人の希望に基づいて分配できるのでトラブルも起こりにくいです。
計画的に行えるので、不動産の資産価値の調査などに時間をかけることもできます。
また、生前贈与で財産の総額が減ると、相続時の相続税を節税できる可能性もあります。
一方、不動産の生前贈与で注意すべきはやはり税金です。
基本的に贈与税は相続税よりも税率が高く、不動産取得税や名義変更でかかる登録免許税についても、相続より贈与の方が高くなります。
また、贈与後3年以内に贈与者が亡くなると、贈与分は相続に組み込まれ、相続税がかかる可能性があることも覚えておきましょう。
不動産を生前贈与する方がいいケース
相続人が多い、関係が複雑など、不動産の相続にあたってもめそうな場合は、生前贈与で所有者が生きているうちに整理しておくのもひとつの方法です。
贈与税に関しては、「相続時精算課税制度」を利用して対応する方法があります。
合計2,500万円まで贈与額非課税で贈与を受けられ、相続時に相続税として精算納税するという制度です。
不動産を相続するメリットと注意点とは?
相続税は贈与税よりも税率が低く、控除や特例も多いので税金を抑えられたり、非課税になったりする可能性が高いことがメリットです。
ただし、相続税の申告・納税には10カ月以内という期限があり、被相続人が亡くなってから、遺産総額の確認、不動産の資産価値の調査、法定相続人の決定と遺産分割の話し合い……と、とても手間のかかる作業や手続きとなることが想像できます。
不動産は現金のようにすっぱり分けるわけにもいかないので、誰がどのように相続するのか相続人の中でもめてしまうことも少なくないでしょう。
不動産を相続する方が良いケース
不動産の価値が高く、贈与だと贈与税が払えないようなケースでは、相続がおすすめです。
相続税は控除や特例などが多く、納める税額を抑えられるからです。
また、相続財産が少ない場合や相続人が少ない場合、正式な遺言書がある場合なども、トラブルになる可能性が低いため、税金を抑えられる相続の方が良いといえるでしょう。
不動産の生前贈与と相続、どちらが得か総合的に判断を
不動産などの財産を生きているうちに渡すことが生前贈与、亡くなってから相続人へ渡すことが相続で、それぞれ贈与税と相続税がかかります。
受け取った不動産の価値が同じなら、相続税よりも贈与税の方が税率が高く、不動産取得税や登記手続きでかかる登録免許税なども贈与の方が高くなります。
しかし、贈与税は自分が受け取った金額だけで計算するのに対し、相続税は相続財産の総額や法定相続人数、条件に合わせた控除や特例などを踏まえて計算しなくてはならず、手続きに手間がかかるという注意点もあります。
手続きや費用などを総合的に判断して、生前贈与と相続のどちらか得か考えてみましょう。
お持ちの不動産の処分に悩んだときは、不動産会社への相談も一つの手。
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多古町店 前島 亮
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