不動産の相続税評価額の調べ方は?計算方法や注意点も解説!
こんにちは。千葉・北総エリアの不動産会社「イエステーション」前島です。
土地や建物などを相続すると、不動産の評価額(金銭的価値)によっては、相続税の支払い義務が発生します。
税金を納める必要はあるか、必要な場合いくらになるか「相続税評価額」を計算して明らかにしていきますが、調べ方や計算方法が不安…という方もいるはず。
相続した財産ごとに評価方法が異なるのも、悩みの種ですよね。
そこで今回は、土地や建物の相続税評価額をどのように調べ、計算すれば良いか、その方法を解説!
評価額に納得できないとき、減額できる対策もあわせてご紹介しますので、ぜひ参考にしてくださいね。
不動産の相続税評価額の調べ方や計算方法をチェック!
不動産相続税評価額の調べ方は、土地と建物で方法が異なります。
それぞれの計算方法と合わせて、確認していきましょう。
土地の相続税評価額の調べ方や計算方法
土地の相続税評価額を調べる方法は「路線価方式」「倍率方式」の2種類があり、それぞれで計算方法が異なります。
また、土地の相続税評価額を調べるため計算をする場合は、基本として土地面積(地積)と、土地を共有している場合は、持分割合(不動産の権利割合)の確認が必要です。
面積は固定資産税の納税通知書に記載されており、持分割合が不明のときは、法務局で登記簿謄本(登記事項証明書)を発行すれば「権利部(甲区)」の「権利者その他の事項」において確認できます。
法務局に備え付けの「登記事項証明書交付請求書」に土地・建物の所在、地番などを記入して申請すれば印鑑・身分証明書などは不要ですが、1通あたり600円の手数料は必要です。
路線価方式とは?
路線価方式で土地の相続税評価額を調べる場合は、「道路(路線)に面する土地1㎡あたりの価格」である路線価(千円単位)を用います。
※路線価は国税庁のホームページで確認可能です
表示される日本地図から所有する土地のある都道府県を選択し、「路線価図」より市区町村の分岐を進むと、道路に数字とアルファベットを付記した地図が出ます。
たとえば、「260D」と記載があれば、1㎡あたりの路線価が26万円(260千円)、借地権割合が60%という意味です(借地権割合の対応表は地図上部に記載)。
所有する土地を誰かに貸していた場合(貸地)は、この借地権割合を用いて計算します。
自分で使っている場合(自用地)とあわせて、計算方法を確認しましょう。
路線価方式の計算方法
路線価方式では、次の計算式を用いて相続税評価額を算出します。
路線価×各種補正率×土地面積=更地の評価額
各種補正率は、奥行きがあったり、間口(道路との接地面)が狭かったり、いびつな形状の土地であったりなど、使いにくい土地の評価額を下げるものです。
ここでは計算を単純化するため、補正率を1とした例を使います。
各種補正率は、国税庁の奥行価格補正率表をご参照ください。
また、土地が貸地である場合は、さらに以下の計算式を用います。
更地の評価額×(1-借地権割合)=貸地の評価額
例①:面積100㎡、路線価26万円の土地の自用地の場合(共有なし)
26万円×1×100㎡=2,600万円
例②:同一条件の自用地で、持分割合が1/2の場合
26万円×1×100㎡×1/2=1,300万円
例③:同一条件の土地(共有なし)を他人に貸している場合(借地権割合60%)
26万円×1×100㎡×(1-60%)=1,040万円
倍率方式とは?
倍率方式とは、路線価が定められていない郊外や農村部など、市街地以外の土地を評価する方法です。
路線価を調べても、所有地に接する道路に路線価が定められていない場合は、倍率方式を用いることで、相続税評価額を算出できます。
計算には、「固定資産税評価額」がいくらか確認が必要ですが、固定資産税の納税通知書の「価格」欄に記載されているので、確認しましょう。
倍率方式の計算方法
倍率方式では、次の計算式を用いて相続税評価額を算出します。
固定資産税評価額×倍率=更地の評価額
路線価と同様に、国税庁の路線価で各自治体の評価倍率表を見て倍率を確認できます。
路線価図の掲載がない市区町村の場合、ページ上部の「この市区町村の評価倍率表を見る」というリンクをクリックすると、同地域の倍率表が表示されます。
地目は登記簿上のものでなく、現況地目で確認しましょう。
例:固定資産税評価額が2,000万円で、倍率が1.1の土地を相続した場合
2,000万円×1.1=2,200万円
貸地である場合は路線価方式と同様に、更地の評価額に借地権割合をかけて算出できます。
建物の相続税評価額の調べ方や計算方法
土地の相続税評価額とは異なり、建物部分の相続税評価額は基本的に固定資産税評価額と同じです。
計算式で表すと「評価額=固定資産税評価額×1.0」となります。
固定資産税評価額は、固定資産納納税通知書の「価格」欄に記載されています。
ただし注意点として、この割合は被相続人が自宅として利用していた場合のもの。
貸家として使っていた場合は、権利関係に応じて次の計算式で評価額が調整されます。
貸家の評価額=固定資産税評価額×(1-借家権割合×賃貸割合)
借家権割合は全国一律で30%、賃貸割合は例えば相続時に貸室6室のうちすべてが貸し出されていれば100%、3室が空室であった場合は50%となります。
納税通知書以外で相続税評価額を調べる方法
納税通知書以外にも、市町村が作成する「固定資産課税台帳」を閲覧すれば、固定資産税評価額が確認できます。
納税義務者だけでなく、借家人なども権利の対象である資産について閲覧・証明書の発行が可能。
数百円程度の閲覧手数料(自治体によって異なる)と、マイナンバーカードなど本人確認書類が必要です。
不動産の相続税評価額は基本的に時価より安い!
売主と買主の取引成立で決まる価格を「時価(実勢価格)」と言います。
不動産の相続税評価額は、基本的に時価より安くなるのですが、その理由についても簡単にご説明しますね。
土地の価格には、時価の他に以下4つの公的な価格があります。
- 公示価格:国が定めたもの
- 基準値標準価格:都道府県が定めたもの
- 固定資産税評価額:市町村が定め、固定資産税・不動産取得税などの計算の基礎となるもの
- 相続税評価額(路線価):国税庁が定め、相続税や贈与税の計算の基礎となるもの
時価は取引によって金額が変わりますが、上記の公的価格はそれぞれ評価時期が決まっています。
公示価格・基準値標準価格は土地売買の参考価格となるため、時価とほぼ同等の評価割合とされるのが一般的。
一方、公示価格・基準値標準価格を100%とすると、固定資産税評価額は約70%、相続税評価額は約80%と評価割合が下がります。
どちらも税金に関わる価格であること、定年で評価替えとなることを考慮し、割安な評価にすることで納税者に損をさせないよう設定されているのです。
相続税評価額に納得できない場合は?売却もおすすめ
相続税評価額に納得できない場合、減額できる方法はあるのかも気になりますよね。
方法としては「縦覧制度」という所有物件と他の土地や家屋とで評価額を比べられる制度があります。
具体的には、同一区内の土地・家屋の価格を記載した「縦覧帳簿」を閲覧し、所有物件が適切に評価されているかどうか判断するものです。
近隣の土地と金額に差があるなど腑に落ちない点があれば、不動産のある市町村の役所にて審査の申し出が可能です。
本人確認書類が必要になるため、忘れず持参しましょう。
また、利用できるケースは限られますが、小規模宅地等の特例を利用して減額できるケースもあります。
被相続人等の居住の用に供されていた宅地、事業用の宅地、貸付事業用の宅地であることが条件で、評価額が最大で80%減額できる特例です。
限度面積や減額割合が決まっているので、国税庁の相続した事業の用や居住の用の宅地等の価額の特例(小規模宅地等の特例)をチェックしましょう。
利用の予定がない不動産は売却するのもおすすめ
不動産を相続したものの利用する予定がないという場合は、所有し続けることで、毎年固定資産税の支払い義務も発生します。
評価額が高ければ、おのずと固定資産税も高くなります。
所有する不動産が多くなると自分では管理しきれず、税理士に依頼する必要も出てくるかもしれません。
将来的にも使う見込みのない不動産は売却し、維持コストがかからないようにすると良いでしょう。
売却の注意点として覚えておきたいのは、相続財産は「所得」とみなされないため、基本的には確定申告は要りませんが、収入が発生するケースは申告が必要なこと。
売却をする場合は、相続で得た不動産を売って生じた売却益(売却金から売却費用や取得費を引いたもの)は、譲渡所得として確定申告します。
所得となることを知らずに無申告となったり、申告期限に遅れたりすると、その分延滞税などが課せられ、確定申告で受けられる控除も受けられない状況になってしまいます。
詳しくは「不動産を相続したら確定申告はどうする?必要な場合や申告方法を詳しく」で解説しています。
また、相続の注意点についても「不動産相続の期限はいつまで?放置のリスクや手続きの流れも確認!」で説明していますので、あわせてチェックしてみてくださいね。
相続税評価額の調べ方は不動産によって異なることに注意
不動産の相続税評価額の調べ方は土地と建物で異なり、計算の際には土地面積や持分割合、場合によっては固定資産税評価額がいくらか確認が必要です。
土地の相続税評価額を調べる方法は、路線価を使う方式と倍率方式の2種類。
建物の相続税評価額は、基本的に固定資産税評価額と同じですが、貸家として使われていた場合は評価額が調整されます。
また、不動産の相続税評価額は、売主と買主の取引価格で決まる価格(時価)よりも安くなるのが一般的ですが、評価額に納得できない場合は「縦覧制度」が利用できます。
不動産を相続し、所有し続けると固定資産税など毎年の維持コストもかかってくるため、将来的にも不要な不動産は売却がおすすめです。
売却などで収入が発生すると、確定申告が必要になるケースもあるのでご注意くださいね。
不動産の売却について悩んだときは、ぜひ不動産会社にご相談ください。
千葉・北総エリアの不動産売却のお悩みは、「イエステーション」がサポートいたします!
多古町店 前島 亮
売却は一生に何度もあるものではございません。
より安心していただけるよう、分かりやすい資料とわかりやすい説明を心がけております。
地元になくてはならない不動産屋としてクオリティの高いサービスをご提供してまいります。