不動産相続で査定が必要な理由とは?方法や分割の選択肢も解説
こんにちは。千葉エリアの不動産会社「イエステーション」前島です。
「親から不動産を相続することになったけれど、査定が必要と聞いた」
「売却する予定はないのに、なぜ査定をしなければならないの?」
「査定を受けた後、分割して相続は可能だろうか?」
このような疑問や不安を抱えていませんか?
実は、不動産の相続において査定は、売却を前提としない場合でも非常に重要な役割を果たします。
今回は、不動産相続における査定の必要性から、具体的な査定方法、そして査定額をもとにした相続方法まで、わかりやすく解説していきます。

不動産相続の際に査定を受ける理由から解説!
不動産を相続するとき、「売る予定はないのに、査定なんて本当に必要なの?」という疑問が浮かぶかもしれませんが、「相続するだけ」でも査定を受けることは重要です。
なぜ重要なのか、主な理由を3つご紹介しましょう。
理由①相続税の申告がスムーズに進めやすい
相続時には、財産の総額に応じて「相続税」が課税されます。
不動産が含まれている場合は、その不動産の「評価額」に基づいて課税額が決まります。
事前に不動産の価値を査定しておくことで、財産全体の目安がわかり、相続税の申告にも役立ちます。
理由②相続か放棄かの判断がつけやすくなる
相続は「もらうだけ」ではなく、ときには不動産を引き継ぐことで負担が増えることも。
例えば、築年数の古い家や、ローンが残っている物件などは、持っているだけで固定資産税や修繕費がかかります。
査定を受けて、不動産が資産になるのか負債になるのかを見極めることで、「相続する」「放棄する」「限定承認する」などの判断がしやすくなります。
理由③相続人同士で公平に分けやすくなる
不動産の価値がはっきりしないまま話し合いを進めると、「本当に公平な分け方なのか?」と不満が生まれ、トラブルの原因になります。
例えば、「兄が家を相続し、弟は現金1,000万円」という分け方をするなら、不動産の査定額がわからなければ、現金で差額を調整する代償金も適切に決められません。
あいまいな見積もりで進めてしまうと、のちに「思ったより家の価値が高かった/安かった」と揉めてしまうことも。
最初に査定を受けておけば、納得できる話し合いがしやすくなります。
相続した不動産を査定する方法は?トラブル回避の対策も
相続した不動産を査定する方法と、注意点についても解説します。
相続した不動産を査定する方法
相続した不動産の価値を把握するには、主に次の3つの方法があります。
- 不動産会社による査定
- 不動産鑑定士による鑑定
- 自分で相続税評価額を調べる
それぞれ見ていきましょう。
方法①不動産会社による査定
査定方法で最も一般的なのが、不動産会社に依頼する無料査定です。
売却を検討している方や、相場を知りたい方におすすめです。
この方法には以下の2種類があります。
- 簡易査定(机上査定):物件情報(立地・間取り・築年数など)をもとに、相場から算出/ネットで手軽に依頼でき、スピーディーなのが特徴
- 訪問査定:実際に現地を見てもらう方法/建物の状態や周辺環境なども加味されるため、より正確な価格を算出可能
どちらも無料で依頼できますが、あくまで売却を前提とした目安価格であり、法的な効力はありません。
また、査定額には不動産会社ごとにばらつきがあるので、より正確な価値判断のためには、複数社に依頼して比較しましょう。
一括査定サイトを使えば複数社にまとめて依頼できますが、営業電話が多くかかってくることもあるため、依頼時には「メール連絡を希望」と記載しておくと安心です。
方法②不動産鑑定士による鑑定
相続人の間で意見が分かれそうなときや、すでに揉めているケースでは、不動産鑑定士による鑑定を検討しましょう。
国家資格を持つ不動産鑑定士が、中立的な立場で評価を行うため、裁判所や税務署でも通用する法的な証拠として使えます。
費用は一般的な住宅で20万〜50万円程度が目安です。
コストはかかりますが、公平性を保ちながら相続を進めたい方には有効な選択肢です。
方法③自分で相続税評価額を調べる
相続税の申告を目的とするなら、不動産の評価額を自分で調べることも可能です。
まず、土地の場合は、国税庁が公開している「路線価図」を使い、「路線価×土地面積」で評価額を算出します。
建物については、市区町村から届く固定資産税の納税通知書に記載されている「固定資産税評価額」で確認できますよ。
ただし、これらはあくまで相続税の申告に使う「公的な評価額」であって、実際に売るときの市場価格(=実勢価格)とは違う点にご注意くださいね。
売却をご検討中の場合は、不動産会社に査定を依頼して、実勢価格の目安を確認しておくのがおすすめです。
査定時に気をつけたいこと
査定方法にかかわらず、以下の点を押さえておくと、相続人間のトラブルや手続きの混乱を防ぎやすくなります。
目的に応じて査定方法を使い分けることが大切
売却予定なら不動産会社の査定、相続税の申告には公的評価額、相続人間で意見が対立しそうな場合は不動産鑑定士による鑑定など、状況に合わせた使い分けを意識しましょう。
相続人が複数いる場合は代表者を決めておく
相続人全員で査定対応をするのは現実的ではないため、依頼や情報整理を行う代表者をあらかじめ選んでおくと、手続きがスムーズに進みます。
公平な分割のためにも!査定額をもとに考える相続方法

不動産の相続では、「どう分けるか」が大きな悩みの種になります。
現金のようにきれいに等分できないため、不動産の価値を正確に把握した上で、適切な分割方法を選ぶことが重要です。
相続不動産の主な分割方法3つ
不動産の分割方法には、次の3つがあります。
- 現物分割
- 代償分割
- 換価分割
まずは、それぞれの基本的な仕組みを簡単に見ていきましょう。
現物分割
現物分割とは、「実家は長男が、別の土地は次男が」など、不動産をそのまま分けて相続する方法です。
それぞれが物件を単独所有する形になるのが特徴です。
代償分割
代償分割とは、相続人のうち1人が不動産を取得し、他の相続人に**代償金(現金)**を支払って調整する方法です。
売却せずに不動産を残したい場合に選ばれることが多くなります。
換価分割
換価分割とは、相続した不動産を売却し、その代金を相続人で分ける方法です。
不動産の共有や調整が難しいときに、公平に分けやすい方法として選ばれます。
査定額や状況によって、選ぶべき分割方法は変わる
3つの分割方法のうち、どの方法が適しているかは、査定額や相続人の事情によって大きく変わってきます。
<主な分割方法とおすすめケース>
- 現物分割:複数の不動産があり、それぞれの相続人に割り当てが可能な場合
- 代償分割:不動産を取得したい相続人がいて、代償金を支払える見込みがある場合
- 換価分割:不動産を公平に分けるのが難しく、相続人が複数いて調整しにくい場合
特に、以下のような状況では注意が必要です。
高額な不動産の場合は、資金調整ができるかどうかで判断が分かれる
相続する不動産の価値が大きいと、代償分割を選んでも代償金を用意できない可能性があります。
換価分割(売却して現金で分ける)が現実的な選択肢になるでしょう。
複数の不動産がある場合は、査定額の差に注意が必要
たとえ不動産が複数あっても、物件ごとの査定額に差があると、「1件ずつ分ける」だけでは不公平になることも。
代償分割などをうまく組み合わせて、全体のバランスを取ると安心です。
相続人間のトラブルを防ぐための分割の進め方
不動産の分割を円滑に進めるには、相続人どうしの合意形成を支える実務面の備えが欠かせません。
以下のポイントを事前に確認しておくことで、思わぬトラブルを未然に防ぎやすくなります。
①相続登記は早めに手続きを進める
令和6年(2024年)4月から相続登記(被相続人からの名義変更)は義務化されており、3年以内に手続きしないと10万円以下の過料が科される可能性があります。
登記を済ませておかないと、不動産の売却や分割が進められず、話し合いが滞る原因になります。
「誰がやるのか」といった責任の押し付け合いから、相続人間のトラブルに発展することもあるため、早めの対応が大切です。
相続登記や手続きの流れについては、「不動産相続の手続きを解説!流れや費用、必要書類をご紹介」で詳しく紹介していますので、ぜひご参照ください。
②遺産分割協議書は「書面」で作成する
分割方法が決まったら、必ず内容を「遺産分割協議書」として書面にまとめておきましょう。
口頭の合意だけでは、後から「そんな約束はしていない」と争いになるおそれがあるからです。
③代表者を決めておくと、手続きの効率化につながる
相続人が複数いる場合は、あらかじめ代表者を決めておくことで、不動産会社とのやりとりや手続きをスムーズに進められます。
④相続税以外の税金の扱いも事前に確認する
相続税以外にも、譲渡所得税や贈与税などの課税リスクが発生する場合があります。
後で「そんな税金がかかるとは知らなかった」と揉めるのを避けるためにも、事前に税理士など専門家に相談しておくと安心です。
不動産相続では「査定」を起点に、納得できる分割を
不動産相続において、査定は売却を前提としない場合でも欠かせない重要なステップです。
相続税の申告や不動産の相続判断、遺産分割協議において、正確な不動産の価値を把握しておくことが、後々のトラブルを防ぐカギになるからです。
査定方法は目的に応じて選びましょう。
一般的な価格の目安を把握したい場合は不動産会社の無料査定を、法的な証拠が必要なケースでは不動産鑑定士への依頼も検討が必要です。
分割方法には、現物分割・代償分割・換価分割の3つがありますが、査定額や相続人の状況によって、どの方法が適しているかは異なります。
不動産の価値を「見える化」したうえで、相続人全員が納得できる方法を選ぶことが、円滑な手続きと良好な関係の維持につながるでしょう。
不動産売却に悩んだときは、ぜひ不動産会社にご相談ください。
千葉エリアの不動産売却のお悩みは、「イエステーション」がサポートいたします。

いすみ店 前島 亮
売却は一生に何度もあるものではございません。
より安心していただけるよう、分かりやすい資料とわかりやすい説明を心がけております。
地元になくてはならない不動産屋としてクオリティの高いサービスをご提供してまいります。